エリアマーケティングの広告手法5選 | 効果的な媒体選定方法もご紹介!
木田 星矢
2015年マイクロアド入社、位置情報広告の黎明期から事業開発を担当。2021年12月時点で3500案件以上の実績を誇るマイクロアドの位置情報広告の責任者。
本記事では、エリアマーケティングの広告配信手法をご紹介します。
特定のエリアに特化した広告配信手法には、折り込みチラシやポスティングなどの紙媒体や、看板やデジタルサイネージなどの屋外広告、インターネットなどのWeb広告があります。
本記事で分かること
・紙媒体、Web広告、屋外広告のメリットとデメリット
・世代ごとに利用されている媒体
・エリアマーケティングに効果的な媒体選定
まず広告媒体を選定する前に、戦略的にどのエリアに予算を投下すべきかを見極める必要があります。
▼対象エリアへ効果的に予算を投下する方法については、下記ブログよりご確認ください。
エリアマーケティングとは?エリアに効率的に予算を投下する方法をご紹介
目次を表示
- エリアマーケティングの広告手法 5選
1.1 折込チラシ(新聞折込広告)
1.2 ポスティング広告
1.3 屋外広告
1.4 デジタルサイネージ広告
1.5 ジオターゲティング広告 - 世代別の利用メディアの利用時間
2.1 10代
2.2 20代
2.3 30代
2.4 40代
2.5 50代
2.6 60代
2.7 年代別のメディア利用時間について - エリアマーケティングの媒体選定
3.1 エリアマーケティングの5W1H
3.2 「When:いつ」
3.3 「Where:どこで」
3.4 「Who:だれが」
3.5 「What:何を」
3.6 「Why:なぜ」
3.7 「How:どのように」 - まとめ
1. エリアマーケティングの広告手法 5選
※以下、記事内では、広告予算を100万円以下と仮定して説明をしております。
エリアマーケティングの代表的な広告手法として、新聞の折込チラシ、ポスティング、看板などの屋外広告、デジタルサイネージ、ジオターゲティング広告があります。
掲載先は、紙媒体や屋外広告、スマートフォンを中心としたデバイスのWeb広告などです。それぞれの特長は下記の図から確認ができます。
こちらの比較表は一部抜粋したものとなります。
より詳細な比較表を閲覧したい方は下記よりダウンロードください。
1.1 折込チラシ(新聞折込広告)
5種類の広告手法の中で、最も歴史が古いものが折込チラシ(新聞折込広告)です。
新聞広告は、新聞に広告を掲載する、いわゆる “新聞広告” と折込チラシに分かれます。
【 折込チラシのメリット】
・50代以上の新聞購読率が高いため、高年齢層にリーチしやすい
・紙の保存性が高い
・広域の範囲に低単価でリーチができる
・保管されることで、反復的に宣伝効果の反応を期待できる
【 折込チラシのデメリット】
・若年層の新聞の購読率が低いため、若年層にリーチしにくい
・配布エリアが市区単位で広域のため商圏を限定できない
・最低出稿金額を設けられているため、柔軟な予算設定ができない
・反応があったかの効果計測を行いづらい
折込チラシは、50代以上の人に市区単位でアプローチをする場合は、効率的な広告手法ですが、商圏が限られてる場合においては、市区単位のみの指定ではエリアの範囲が広くなってしまいます。そのため、商圏が広い広告主との相性が良いです。
具体的におすすめな業種は、商圏の広い「家電量販店」や「ショッピングモール」などが該当します。
また、総務省が作成している統計データを活用し、年収などの属性を確認することができます。
平均年収が高いエリアや、子育て世代が多いエリアを市区単位で指定した広告出稿も有効です。
1.2 ポスティング広告
折込チラシと比較されやすいのが、ポスティング広告です。
ポスティング広告は、一軒ずつチラシ広告を投函する手法です。新聞広告と比較するとエリアを細かく指定することができ、A4のサイズからポストカード、厚みのある小冊子なども投函することができます。
【ポスティング広告のメリット】
・町、丁目指定の狭域エリアの指定が可能
・集合住宅やマンションの指定が可能
・クリエイティブの自由度が高い
・家庭内に保存される可能性が高く、反復的に訴求ができる
【ポスティング広告のデメリット】
・広域のエリアに投函するには効率が悪い
・折込チラシと比べて配布コストが高い
・反応があったかの効果計測を行いづらい
ポスティング広告は、紙媒体の中ではクリエイティブの柔軟性が高く、エリアも細かく指定ができるため、費用については折込チラシと比較し、高額となる傾向があります。
例えば、配達ができるエリアが限られている「ピザ屋」や「寿司屋」などの商圏が決まっている店舗型のお店では、町丁目指定ができるポスティングの方が効率的です。
またポスティングされたチラシに、半額クーポンなどの特典をつけることで、チラシが保管される可能性があります。
保管されることで、チラシを閲覧した当日だけではなく、反復的に宣伝効果の反応を期待することができます。
高年齢層でスマートフォンを活用するのが苦手な方や、電話で注文したい方にとっても利便性が高い広告手法です。
1.3 屋外広告
【屋外広告のメリット】
・ロケーションの特性を活かしてターゲットを絞ることができる
・同じエリアで中長期的に掲載することで、想起しやすくなる
【屋外広告のデメリット】
・どれだけの人にリーチができて、反応があったかの効果計測を行いづらい
・看板の面積に表現できる情報量に制限がある
・維持コストがかかる(電飾交換/フレームの錆etc)
・クリエイティブの修正が容易にできない
屋外広告は、広告掲載時にポスターの張り替えや工事が必要な場合もあるため、容易に掲載場所の変更がしづらく、一定の期間を設けて広告を掲載する必要があります。
ポスティング広告のように手軽にクリエイティブのPDCAサイクルをまわすことはできません。
また、広告掲載後に、需要が顕在化するまでに時間が必要になります。
例えば、「駅前クリニック」の屋外広告では、クリニックへの来院が必要になるのは、看板をみた時ではなく、体調が悪くなった時であり、ニーズが顕在化するまでに時間が発生します。
そのため、屋外広告を掲示してからいつ反響がでてくるのかを想定しておく必要があります。
1.4 デジタルサイネージ広告
屋外・店頭・公共空間・交通機関など、あらゆる場所でディスプレイなどの電子的な表示機器を活用し、情報を発信するシステムを総称して 「デジタルサイネージ」と呼びます。
街頭の大型ビジョンや駅だけでなく、エレベーターや小型店舗、大学、ホテル、病院など「屋外の大型画面による広告」以外にも、掲載可能な広告枠が急速に増えています。
【デジタルサイネージ広告のメリット】
・ロケーションの特性を活かしてターゲットを絞れる
・クリエイティブの自由度が高い
【デジタルサイネージ広告のデメリット】
・どれだけの人にリーチができて、反応があったかの効果計測を行いづらい
・デジタルサイネージが普及していないエリアでは訴求ができない
・放映枠に時間の制限がある
デジタルサイネージ広告の最大のメリットは、視認性の高い広告枠に情報量の多い動画を放映できることです。
チラシ系広告やジオターゲティング広告などと比較しても、最も大型の広告枠です。
屋外広告は限られた面積の中で情報量を掲載する必要がありますが、デジタルサイネージ広告では動画で表現することができます。
訴求力の高い例として、多くのメディアで取り上げられた
クロス新宿ビジョンの運営する「新宿駅の巨大な3D三毛猫」があります。
ビルの最上階に設置されたビジョンに、巨大な三毛猫が登場して通行人を見下ろしています。あまりにリアルな3D映像で、多くの人が足をとめて写真に収める姿がニュースに取り上げられました。
以前はTV CMを流用することが一般的でしたが、ロケーションにあわせた動画素材を用意する広告主も増えてきています。
ほかの例として、滞在時間の長いヘアサロンのデジタルサイネージに対しては、60秒のhow To動画を配信し、ドラックストアでは、瞬時に商品のお得な情報を読み取ってもらえる短尺動画を配信するなど、広告主の多様なニーズに対応する自由度の高い広告配信が可能です。
デジタルサイネージ広告は、放映枠に時間の制限があるため、指名検索数やブランド認知度をKPIとして設計されるケースが多いです。
1.5 ジオターゲティング広告
ユーザーのスマートフォンから取得出来る位置情報の行動履歴データをもとに生活圏や属性を推定するターゲティング手法です。
ユーザーから利用許諾を取得できた位置情報のみを活用し、いつどこにいたのか、今どこにいるのかといった位置情報を、目的に合わせてターゲティング設計することが可能です。
【ジオターゲティング広告のメリット】
・オフラインの行動履歴データを自由度が高くターゲティング設定ができる
・どれだけのユーザーにリーチができて、反応があったかの効果計測を行える
・リーチしたユーザーの来店有無を計測することができる
・クリエイティブの自由度が高い
・少ない予算から広告の出稿ができる
・効果検証のPDCAサイクルを早くまわせる
【ジオターゲティング広告のデメリット】
・視認性が低い
・高年齢層にリーチしづらい
ジオターゲティング広告の最大のメリットは、ターゲティング設定や広告掲載において柔軟性が高く実施できることです。
最低出稿金額のハードルも低く、広告運用におけるPDCAのサイクルも早くまわすことができ、費用対効果の可視化をすることができます。
クリエイティブの反応が低い場合、管理画面の操作で新しいクリエイティブに差し替えたり、集客したい日に合わせて週末に配信量を増やすなどの運用調整が可能です。
特定エリアや店舗の来訪者など、広告主の要望をカスタマイズして設計することができます。
デメリットとしては、ポスティング広告や交通広告と比較して、掲載できる広告枠の面積が小さいことです。
ただし、視認性の低さは、ランディングページで補うことができます。ランディングページには、テキストの量や長さなどの物理的な制限がありません。
情報量の多いランディングページを作成することで、認知だけではなく行動喚起を促すことができます。しかし、行動喚起を促すランディングページを作成するには、専門的な知見やPDCAを何度も行う必要があります。
また、高年齢層は若年層と比べて、ネットの利用率と利用時間が少ないため、高年齢層へのアプローチとしては、折込チラシなどの紙媒体の方が適しています。
どの年代にアプローチするかによって出稿するメディアが変わっていきます。
下記の図は総務省の「令和2年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」を参照し作成した図となります。
※引用元:総務省
主なメディアの利用時間を表しており、全世代を平均するとインターネットがテレビを上回る結果となりました。
世代毎に利用するメディアは異なるため、各世代毎に利用メディアを確認していきます。
2.1 10代
インターネット利用率が最も高い世代が10代となります。
テレビを視聴する人は全体の27%程度で、ラジオと新聞は1%以下となっており、ほとんどがインターネットを利用してメディアを閲覧し、テレビを利用する時間は限定的な傾向です。
2.2 20代
10代と比較して、テレビの視聴率が1%上がりインターネットの利用率が2%下がっていますが、10代とほぼ同様の結果となっています。
2.3 30代
30代からメディアの視聴時間が変わり、テレビの視聴時間が増えています。インターネットを利用する時間は50%以上となり多い傾向ですが、テレビの視聴時間も全体で43%と高くなっています。
20代までは、インターネットを利用する人が多い傾向ですが、30代はテレビとインターネットを併用している人が多いと考えられます。
2.4 40代
テレビの視聴時間がリアルタイム視聴と録画を合算すると、インターネットの利用時間より長くなっており、テレビの影響力が高いと考えられます。
ラジオや新聞購読などの利用時間が30代以下と比較して高くなっており、オフラインのメディアが40代から増加している傾向です。
2.5 50代
テレビ視聴時間が高くなり63%がテレビを利用しています。
インターネットの利用時間は高いものの、他の年代と比較すると下がっています。ラジオと新聞の購読も全体の11%となり、他の年代よりも増えています。50代になるとテレビの影響度がより高いと考えられます。
2.6 60代
テレビの視聴時間が全体の67%を超え、ほとんどの人がテレビを利用していると考えられます。
20代以下は70%がインターネットを利用する傾向に対し、60代については20代のネット時間とテレビ視聴時間が逆転しています。
2.7 年代別のメディア利用時間について
若年層と高年齢層で利用するメディアが大きく異なり、20代以下のインターネットの利用は、60代のテレビの利用率と同等な傾向になります。
このデータから分かるように、高年齢層はテレビの影響度が高く、インターネットの影響が若年層と比べて低いと考えられます。
反対に、折込チラシは、若年層にはアプローチは難しいですが、高年齢層を対象とするには相性が良いです。
1章と2章では、媒体ごとの違いと、世代別のメディアの利用時間について解説してきました。
この章では具体的な媒体選定からメディアの出稿について解説します。
3.1 エリアマーケティングの5W1H
広告掲載後に、顧客とのコミュニケーションをどのように構築すべきかを設計する必要があります。
5W1Hは、伝えたい内容を下記の要素に沿って構成すると、情報を整理することができます。
「When:いつ」
「Where:どこで」
「Who:だれが」
「What:何を」
「Why:なぜ」
「How:どのように」
3.2 エリアマーケティングの5W1H 「When:いつ」
広告出稿後に、いつ顧客が反応してくれるかを想定します。
チラシを配った直後に、反響が少ないと判断をするのは時期尚早です。
チラシは①投函、②開封、③閲覧される必要があるため、投函から閲覧までにタイムラグが発生します。
また、閲覧されずに、そのまま捨てられる可能性もあります。
チラシを見ても、すぐに顧客のニーズが顕在化する方が少ないため、ニーズが顕在化するまで待つ必要があります。
顧客のニーズをはやく顕在化させるためには、割引クーポンなどのインセンティブを顧客に配り、広告の反響を得ることができますが、インセンティブの魅力が少ない場合は、反応を得るのは難しいです。
過去に実施した事例では、インセンティブが500円以下の場合、ほぼ反響は得られることができず、来店に寄与するインセンティブは、1,000円以上を付与する必要がありました。
3.3 エリアマーケティングの5W1H 「Where:どこで」
広域エリアに広告を掲載するのか、それとも狭域エリアに広告を掲載するかを目的に応じて選択します。
広域エリアは、市区単位で指定を行い、狭域エリアの場合は、町丁目単位か、半径指定、特定のロケーション単位で選択する必要があります。
どちらがいいのかは、顧客が店舗に来られる商圏エリアを見極める必要があります。
商圏の範囲は、「移動経路」と「移動手段」から想定ができますが、弊社のツールを利用して分析する事も可能です。
▼詳しくは下記のブログで詳しく解説しています。
エリアマーケティングとは?エリアに効率的に予算を投下する方法をご紹介
3.4 エリアマーケティングの5W1H 「Who:だれが」
自社と相性の良い顧客を見極める上で重要な要素は、性別や年代などのデモグラフィックデータです。
なぜ、デモグラフィックデータが重要かというと、アプローチする年代・性別を決めることで、どんなメディアに出稿すべきか定まるためです。
年代別の主なメディアの平均利用時間でご紹介したように、若年層と高年齢層で活用するメディアは全く異なります。
そのため、どの年代に対して何のメディアで訴求するかは、マーケティング戦略を設計する上で最も重要と考えられます。
また、総務省の統計データなどを用いて、商圏エリアの年代や世帯年収を把握することができるため、全体感を把握するためにはこのような統計的なデータが有効です。
3.5 エリアマーケティングの5W1H 「What:何を」
自社の商品で、「何を」訴求するかを決める必要があります。
たくさんの広告の中で見落とされないように、競合優位性がある商品や目新しさも必要となってきます。
他社の掲載されている広告をみて、どのような訴求を行っているか、差別化ポイントがどこになるのか、分析してからプランを検討するのが良いでしょう。
また、訴求力を高めるクリエイティブを検討するにあたり、媒体ごとの制約条件を事前に確認しましょう。
媒体ごとに掲載できる情報には制限があります。
特に屋外広告やデジタルサイネージ広告は、面積が限られていたり、放映できる時間に制限があるため、少ない情報量の中で訴求することが求められます。
3.6 エリアマーケティングの5W1H 「Why:なぜ」
広告が視認された後に、ニーズを顕在化させて行動喚起を促すことができるか否かは訴求力次第です。
顧客が求めている目的は、大きく3つあります。
① 以前から購入を検討していた
② 競合と比較して価格の優位性がある
③ 購入できる期間が限られているから
のいずれかに該当することが多いです。
来店を促す動機をつくるためには、なるべく多くの情報を伝える必要があります。
Web・インターネット広告の場合は、ランディングページを作成することで、多くの情報を掲載することができますが、紙媒体や交通広告では情報量が限られます。
顧客がなぜ求めているのかを想定し、適切にコミュニケーションの設計を行いましょう。
3.7 エリアマーケティングの5W1H 「How:どのように」
顧客のニーズが顕在化して、自社のサービスに「どのように」興味をもってもらうかを考えましょう。
例)
・チラシを配布して、電話で予約をしてもらう
・インターネットで、クーポンを利用して購入してもらう
・屋外広告をみて、Webサイトで検索してもらう
上記はほんの一例ですが、ターゲットや目的に応じて掲載する媒体を選定し、エリアマーケティングにおける戦略を立てていきましょう。
媒体の選定を間違ってしまうと、顧客とのコミュニケーションが発生しない場合もあるため、ターゲットの年代や性別と相性の良い媒体を選定して、効率の良いコミュニケーションを図りましょう。
弊社では位置情報広告とデジタルサイネージ広告を扱っております。
広告配信実績も数多くありますので、気になる点がございましたらお気軽にお問い合わせください。
▼エリアマーケティングにおける、主要な5媒体についての比較表を配布中!
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