自治体におけるWebサイト構築の目的・成功事例と収益化を図る方法

自治体のWebサイトは地域住民の多くが閲覧します。Webサイトを構築していない自治体は無いといっても過言ではありません。しかしながら、自治体のWebサイトは情報量が多く管理の難しさを感じているご担当者も多いでしょう。

 

本記事では、自治体のWebサイトの目的・求められることのほか、Webサイト構築における課題や自治体のWebサイトの成功事例について解説します。

 

Webサイトは運営・管理に加えて、情報がどれだけ閲覧されているかなどのWebサイト分析が肝心です。また、情報発信にとどまらず空きスペースの広告収入の収益化についても検討しなければなりません。

 

記事の後半では、収益化の向上を支援する広告配信・管理ツール「MicroAd COMPASS」をご紹介します。自治体のWebサイトの構築・運営に悩んでいる自治体のご担当者は、ぜひ最後までご覧ください。

 

目次を表示

  1.  自治体のWebサイトの目的と役割

      1.1 地域住民への情報提供

      1.2 公共サービスの案内

      1.3 住民とのコミュニケーション

      1.4 緊急情報の発信

      1.5 観光促進

  2.  自治体のWebサイト構築において求められること

      2.1 アクセシビリティに配慮している 

      2.2 ユーザビリティに優れている

      2.3 強固なセキュリティ

      2.4 多言語対応

      2.5 モバイル対応

      2.6 SNSやアプリとの連携

      2.7 エンゲージメント

  3.  自治体のWebサイト構築における課題

      3.1 必要な情報がどこにあるかわからない

      3.2 デザインやユーザビリティに乏しい

      3.3 コンテンツの量が多い

      3.4 部署ごとに情報管理されている

  4.  自治体のWebサイト構築の成功例

      4.1 千葉県千葉市

      4.2 静岡県浜松市

      4.3 栃木県日光市

  5.  自治体のWebサイトで収益化を図る方法

      5.1 Google Adsense

      5.2 空きスペースのバナー広告

  6.  自治体のWebサイトの収益化向上を支援するツール「MicroAd COMPASS」とは

      6.1 オークション形式で入札単価の高い広告を自動配信

      6.2 広告はクリエイティブ単位で確認できる

  7.  まとめ

 

 

1.自治体のWebサイトの目的と役割

 

自治体のWebサイトの主な目的は、地域に居住する住民への情報提供です。そのほか、移住・定住を検討している方や地域に関心のある方に向けた情報発信などに広く活用されています。ここでは、自治体のWebサイトが果たす目的と役割を、以下の5つの観点から解説します。

 


1.1 地域住民への情報提供



住民が生活していくうえで必要な手続きの多くを役所でおこなうため、自治体のWebサイトは地域住民に向けて様々な情報を掲載しています。

 

総合案内をトップページに据えて、政策・財政・人事・監査・条例・税金・選挙・広報などの情報が掲載されているのが一般的です。自治体の現状を様々なカテゴリーや視点からわかりやすく発信しているのが、自治体のWebサイトです。



1.2 公共サービスの案内



自治体は役所での窓口業務以外にも、教育・医療・子育て等に関する様々な公共サービスを提供しています。そのほかの代表的なサービスは、以下のとおりです。
代表的なサービス

 

  • ・総務:戸籍情報管理や統計情報の掲載・広報
  • ・福祉・介護:介護サービスの手続き
  • ・労働・雇用:ハローワークなど
  • ・年金:国民年金・厚生年金の手続きなど
  • ・公共施設:図書館、公民館、公園、スポーツ施設
  • ・社会基盤:道路、河川、港湾、上下水道、空港など
  • ・まちづくり:地域振興など

 

公共サービスの情報は多岐にわたるため、Webサイトのトップページから各情報にアクセスしやすいようにサイトを構築しなければなりません。

 

なお、小さなお子様のいる家庭から高齢者まで生活で欠かせない公共サービスは、自治体によって情報のカテゴライズの仕方が異なります。

 

 

 1.3 住民とのコミュニケーション


 

地域住民が自治体との地域づくりに参加する方法として挙げられるのは、直接請求および住民監査請求などです。そのほか、住民参加制度などによって参加可能です。

 

自治体が主体となって住民とコミュニケーションを深める場として、説明会・アンケート・市政モニター制度や委員会への市民公募などが以前からおこなわれてきました。これらの情報発信は、広報誌やWebサイトを通じておこなわれるのが一般的です。

 

デジタル庁はめまぐるしく変化する情勢のなかで、従来のコミュニーケーションでは住民のニーズを捉えきれないと考えています。デジタル庁が掲げる目標は、「誰一人取り残されない、人に優しいデジタル化」です。

 

新型コロナ禍を皮切りに、市民(Civic)がテクノロジー(Technology)を活用して地域の課題を解決していくシビックテックが推進されています。データの利活用を促進しSociety5.0(※1)の実現を目指しています。

Society5.0

 

Society5.0は、内閣府の第5期科学技術基本計画において提唱されました。仮想空間のようなサイバー空間と現実世界をIoTなどで融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する人間中心の社会を指します。

 

※1)内閣府 Society5.0 

 

 1.4 緊急情報の発信


 

地域で自然災害が発生した際、自治体はWebサイトにすみやかに状況や避難情報を掲載しなければなりません。ハザードマップや避難所へのルートのほか、避難所の開設情報や気象情報などの防災情報の発信元になります。

災害発生後の給水場所の案内やインフラの復旧状況など、自治体のWebサイトは多くの情報を網羅しています。

 

 1.5 観光促進


 

自治体は地域の活性化を図って、観光を促進する情報を更新しています。観光を促進するために、旅行情報を集めたポータルサイトやアプリの制作を手がける自治体も増えてきました。

 

例えば、京都市は京都市観光協会と連携して、京都観光オフィシャルサイト「京都観光Navi」を制作。市内を快適に観光できる度合いを示す「観光快適度」を発信して、観光客の時期・時間・場所の分散化を進めています。

 

観光客が地域にどれだけ訪れているのかを示すために、観光庁が発行している宿泊統計を記載している自治体もあります。観光の促進は地域の活性化にもつながるため、自治体は積極的に情報発信をおこなっています。

 

 

2.自治体のWebサイト構築において求められること

 

自治体のWebサイトは、行政手続き・地域イベントの情報や公共施設の営業状況など住民が必要とする情報がそろっています。

 

本章では、老若男女が様々なデバイスから閲覧する自治体のWebサイト構築において求められることについて解説します。

 


2.1 旅行会社の招へいおよび海外視察・商談



自治体のWebサイトは、高齢者や障がいのある方を含めて誰もが情報を取得できる必要があるため、Webアクセシビリティの確保が最優先で求められます。Webアクセシビリティが確保できていない状態とは、次のような場合を指します。

 

  • ・情報がPDFのみ:音声読み上げソフトが対応できず視覚障害の方が閲覧できない
  • ・字幕のない動画:聴覚障害のある方が内容を理解できない
  • ・サイトが構造化されていない:検索エンジンにきちんと判読されなければ重要な情報が検索結果の上位に表示されない

 

自治体のWebサイトには、住民が社会生活を送るうえで欠かせない情報が掲載されています。それゆえ、誰もが閲覧しやすいアクセシビリティに配慮したページ作成が必要です。

 


2.2 ユーザビリティに優れている



自治体のWebサイトに限らずWebサイトを閲覧する際、ユーザーは自らが求める情報に迅速にストレス無く辿り着きたいと望んでいます。

 

それゆえ、自治体のWebサイトはトップページから様々な情報にスムーズにアクセスできるように構築しなければなりません。トップページから各情報への検索がスムーズにすすみ、知りたい情報を獲得できるユーザビリティに優れたサイト構築が不可欠です。



2.3  強固なセキュリティ



自治体には、独自のドメイン「lg.jp」が配布されており、これは自治体しか使用できません。総務省が各自治体に配布している「地方公共団体における情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」でも、独自ドメインの使用を推奨しています。

自治体のWebサイトに掲載されている情報は、地域住民にとって重要な内容である場合がほとんどです。それゆえ、自治体のWebサイトには強固なセキュリティ対策が求められます。



2.4 多言語対応



それぞれの地域には、日本人のみならず様々な国の方が在住しています。自治体のWebサイトで情報を取得する方も多いため、多言語対応が必要不可欠です。近年、多言語翻訳に加えて、音声読み上げにも対応したWebサイトが増えています。



2.5 モバイル対応



総務省が発表している令和5年版情報通信白書によると、個人でインターネットを利用している方の割合は84.9%です。そのうちスマートフォンの利用率は71.2%と、パソコンの48.5%を大きく上回っています。スマートフォンで情報を検索する方が増えているため、モバイル対応も必須です。

 

 

2.6 SNSやアプリとの連携


 

LINEやInstagramなどのSNSは、スマートフォンからアプリをダウンロードして利用するケースが一般的です。各自治体でもLINEを活用して事務手続きを簡素化するなど、自治体DXが進んでいます。


災害時などに緊急情報を多くの方に迅速に届けるためには、SNSやアプリとの連携が求められます。また、スマートフォンアプリにはプッシュ通知機能が備わっており、情報の拡散力も高いのが特徴です。



2.7 エンゲージメント


 

自治体のWebサイトで情報を検索する方は、住民もしくは地域に興味・関心のある方が大半です。地域への興味・関心を高めて住民参加型のイベントに参加してもらうなど、関係人口づくりが求められます。住民を中心としたまちづくりや地域活性化の効果を高めるためには、エンゲージメントの高いWebサイト構築が求められます。

 

 

3.自治体のWebサイト構築における課題

 

自治体のWebサイト構築・運用のご担当者の中には、情報更新や運用面での改善を検討している方も多いでしょう。そのためには、現状の課題を正しく把握する必要があります。本章では、自治体のWebサイト構築における課題を、以下の5つに分けて解説します。



3.1 必要な情報がどこにあるかわからない



自治体のWebサイトは、社会生活に必要な項目から地域で開催されるイベント情報まで多くの情報を網羅しなければなりません。情報過多に陥りやすく、部署ごとに掲載情報を管理しているケースも見受けられます。

 

 

3.2 デザインやユーザビリティに乏しい



自治体のWebサイトは主に新しい情報の発信を目的としており、情報更新の頻度と速報性に重きがおかれています。それゆえ、Webサイトのリニューアルが思うように進んでいないケースが散見されます。何年もリニューアルされておらず、デザイン性やユーザビリティに乏しいサイトになりがちな点が課題です。



3.3 旅行情報の投稿回数や閲覧数



自治体のWebサイトは、上述のように多くの情報を網羅するためコンテンツの量が多いのも特徴の一つです。

また、サイトを訪れるユーザーが常に最新情報を確認できるようにしなければなりません。掲載するコンテンツと情報が多く、Webサイト内で必要な情報を取得するまでに時間がかかるのも課題といえるでしょう。



3.4 人流・モバイル空間統計



自治体では、各部署ごとに業務内容が異なります。Webサイトの更新を一括管理ではなく、各部署ごとにおこなっている自治体も多いでしょう。各部署ごとの掲載ルールやフォーマットがあるため、ユーザーが閲覧したときに統一感がないWebサイトに見えてしまいがちです。


 

4.自治体のWebサイト構築の成功例

 

ここまで、自治体のWebサイトで求められる条件や課題について解説しました。続いて、これから自治体のWebサイトの再構築・リニューアルを検討しているご担当者に、自治体のWebサイト構築の成功事例をご紹介します。



4.1 千葉県千葉市



千葉県千葉市

千葉市のWebサイトはトップページのナビゲーションの視認性が高いのが特徴です。トップページの見出しにイラストを活用しており、シンプルで見やすいサイトだと評価されています。

 

生涯学習や子育てに関する情報は別のポータルサイトに情報を集約されており、情報の検索のしやすさも意識されています。



4.2 静岡県浜松市



静岡県浜松市

 

浜松市のWebサイトは、シンプルながらもユーザビリティに優れたサイトです。掲載情報がカテゴリー別になっており、公共施設や市政に関する情報・休日当番医や避難場所などの緊急時に必要な情報がトップページに網羅されています。それぞれのカテゴリーのボタンはアイコンと文字だけでとてもシンプルなため、視認性の高いWebサイトとしても評価されています。



4.3 栃木県日光市



 栃木県日光市

 

日光市のWebサイトは、災害などの緊急時にはトップページのわかりやすい場所に情報が配置されます。また、AIチャットボットを設置しており、簡単な質問にはAIが答えてくれる手軽さも魅力です。文字サイズや背景色を変更可能で、トップページからWebページとPDFの検索をかけられるのも特徴です。

 

 

5. 自治体のWebサイトで収益化を図る方法

 

自治体のWebサイトの主な目的は情報発信です。しかしながら、人口減少により財源が悪化している自治体も多く、Webサイトで収益化を図る試みがおこなわれています。本記事では、自治体のWebサイトを活用して収益化を図る方法を、2つご紹介します。



5.1 Google Adsense



新潟県では自治体のWebサイトにGoogle Adsenseを導入しました。

Google Adsenseは、Webサイトに専用のコードを貼り付けて広告を表示します。広告の内容はサイト側では選択できず、設置したページの内容や訪れたユーザーの閲覧履歴によって変動します。広告がクリックされた回数に応じて、収益がサイトの管理者に支払われる仕組みです。

 

得られる収益自体はそれほど多くはないものの、自治体がWebサイトを活用して積極的に収益化を目指す姿勢を見せられるのは成果といえるでしょう。

 

Google Adsenseは一度導入すると、特に設定を変更する必要もなく工数が少ないため効率的に収益化が図れます。



5.2 空きスペースのバナー広告



自治体のWebサイトで収益化を図る有効な手段の一つが、空きスペースの活用です。すでに一部の自治体で、空きスペースのバナー広告掲載を開始しています。

 

地元企業にとっては掲載費を支払って広告を掲載することで、信用度が高まるメリットが期待できるでしょう。自治体はバナー広告の掲載費によって収益を得られます。

 

 

6.自治体のWebサイトの収益化向上を支援するツール「MicroAd COMPASS」とは


「MicroAd COMPASS」は、マイクロアドが提供しているメディアの広告収益化を支援するプラットフォームです。複数のサービスを有効活用して収益化の向上を支援します。自治体のWebサイトで収益化を図るためにも役立つツールです。



6.1 オークション形式で入札単価の高い広告を自動配信



「MicroAd COMPASS」は、各種DSP(広告配信プラットフォーム:Demand Side Platform)や、配信ネットワークパートナーと連携する国内最大規模のシェアを持つSSP(Supply Side Platform)です。SSPとは、接続しているDSPやアドネットワークの広告の中で、一番単価が高いものを自動で選んで配信してくれるシステムです。入札単価の高い広告を掲載することで、自治体のWebサイトの収益化にもつながります。



6.2  広告をクリエイティブ単位で確認できる



「MicroAd COMPASS」には、広告の配信期間や上限設定・在庫予測の機能が備わっています。掲載している広告を一元管理できる広告管理ツールとしての利用も可能です。

 

また、管理画面からクリエイティブ単位で掲載する広告を選択できるため、自治体のWebサイトのブランドを損なうことなく、収益化を図れます。

 


7.まとめ

 

本記事では、自治体のWebサイト構築において求められていることや課題について解説しました。併せて、自治体のWebサイトの成功事例をご紹介しました。

 

自治体のWebサイトは様々な方がストレスなく必要な情報を取得できるように、ユーザビリティに配慮したWebサイトの構築が求められます。そのほか、SNSやアプリとの連携や視認性の向上などの改善も急務です。

 

加えて、人口減による税収減を補うため、自治体のWebサイトにおいて収益化を図ることも大切です。記事の後半では、収益化向上を図るための有効なツールとして「MicroAd COMPASS」のサービスをご紹介しました。

 

自治体のWebサイトの改善ならびに収益化を検討しているご担当者は、ぜひ本記事を参考にしてください。

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