企業版ふるさと納税の仕組みと、メリットやデメリットを解説
Ads Universityブログ編集部
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企業版ふるさと納税は、正式名称を「地方創生応援税制」といいます。地方公共団体が実施している地方創生の取組みに対し、企業が寄付をすると法人関係税から税額控除を受けられる仕組みです。
自治体にとっては寄付金の増加が見込めます。企業にとっては寄付金の最大9割の税金の軽減効果を得られるので、双方にメリットがあるといえるでしょう(※1)。
本記事では、企業版ふるさと納税の仕組みについて詳しく説明します。さらに企業側にとって、企業版ふるさと納税を利用するメリットとデメリットについても解説します。
また、記事の後半ではビジネスデータを用いて広告配信のできる「シラレル」と、自治体の課題を解決するプラットフォーム「ふるさと納税でまちあげ」のサービスをご紹介します。企業版ふるさと納税に興味がある方は、最後までご覧ください。
(※1)内閣府地方創生推進事務局 企業版ふるさと納税の拡充・延長
目次を表示
- 企業版ふるさと納税の税額控除の仕組みとは
1.1 税額控除の仕組み
1.2 控除上限額の仕組み
1.3 今期内の控除対象にするには
1.4 寄付実績について - 企業版ふるさと納税のメリット
2.1 税額負担の軽減が見込める
2.2 地方公共団体とのパートナーシップが構築できる
2.3 企業としてのブランド力が高まる
2.4 人材派遣型を通じて人材育成ができる - 企業版ふるさと納税のデメリット
3.1 企業は資金繰りや予算管理に影響が伴う
3.2 返礼品などの利益を享受できない
3.3 税額控除になる金額には制限がある - 企業版ふるさと納税の参加条件と申し込み方法
4.1 企業版ふるさと納税の参加条件
4.2 企業版ふるさと納税の手続き方法 - 企業版ふるさと納税の活用事例
5.1 京都府京都市
5.2 群馬県富岡市
5.3 北海道大樹町
5.4 徳島県神山町 - ビジネスデータをもとに広告配信がもできる「シラレル」とは
- ふるさと納税など自治体の課題解決に特化「ふるさと納税でまちあげ」とは
- まとめ
企業版ふるさと納税は、自治体が実行している地方創生の取り組みに対し、企業に寄付を募る制度です。正式名称を「地方創生応援税制」といい、2016年に内閣府が主導し創設されました。
2020年4月に税制が改正され税額の軽減率が増加。企業の負担額が減少し寄付をしやすい仕組みに変更されました(※2)。企業が地域の街づくりに貢献することにより、法人関係税から税額の控除を受けられる税制度です。
現在の仕組みの適用期間は5年間延長され、2024年まで適用されます。
※2)内閣府地方創生推進事務局 地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)について
1.1 税額控除の仕組み
企業が企業版ふるさと納税を活用し寄付すると、税務処理では換金算入という扱いになります。寄付額を仮に2,000万円とすると、税額控除は次のとおりです。
- ・損金算入:約3割
- ・税額控除:最大6割
- ・企業負担:約1割
最大約1,800万円の税金が軽減されます。なお、企業が本社のある自治体へ寄付する場合は、この制度は対象になりません。
1.2 控除上限額の仕組み
企業版ふるさと納税の控除上限額の仕組みは次のとおりです。法人事業税、法人住民税、法人税でそれぞれ控除内容が異なります(※3)。
- ・法人事業税:寄付金額の20%(法人事業税額の20%が上限)
- ・法人住民税:寄付金額の40%(法人住民法人税額の20%が上限)
- ・法人税:寄付金額の10%、法人税額の5%、法人住民税で40%未満の場合はその残額の3つのうちいづれか少額
企業版ふるさと納税の提供サイトでは、税控除額シミュレーションも用意されており、実際の控除額を試算できます。
※3)内閣府 企業版ふるさと納税 - 地方創生
1.3 今期内の控除対象にするには
企業版ふるさと納税を活用して今期中の控除対象とする条件は、決算期の末日までに決済が完了することです。企業の決算期が3月であれば3月末日までに決済もしくは振込が完了していなければなりません。
ただし、支払いの計上を請求書発行のタイミングでおこなっている場合は、控除対象になる日付が変動する可能性があります。寄付が完了した後、自治体より寄付受領証明書が発行されるので、それを基に経理処理をおこないます。
1.4 寄付実績について
令和5年8月29日に内閣府より発表された企業版ふるさと納税の令和4年度寄付実績は、次のとおりです。
- ・寄付金額:約341.1億円(前年比約1.5 倍)
- ・寄付件数:8,390件 (前年比約1.7倍)
- ・寄付を実施した企業:4,663社(前年比約1.5倍)
- ・寄付を受領した地方公共団体:1,276団体(前年比約1.3倍)
企業版ふるさと納税の寄付額は順調に増加しています。都道府県別の寄付実績によると、北海道の寄付件数・寄付総額が多いことがわかります。地方公共団体別では、静岡県裾野市が令和3年度・令和4年度と2年連続で1位を獲得しました(※4)。
(※4)内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局 内閣府地方創生推進事務局 地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)の 令和4年度寄附実績について(概要)
企業版ふるさと納税を活用する企業は増加傾向にあります。ここからは、企業版ふるさと納税をおこなう4つのメリットについて解説します。
2.1 税額負担の軽減が見込める
企業版ふるさと納税を活用して寄付金を納付すると、法人税などの負担の軽減を見込める点が挙げられます。法人事業税・法人住民税・法人税のそれぞれの負担を軽減できます。地方公共団体の事業の応援にもつながるので、ブランド力の向上に寄与し、税額負担も軽減できるのはメリットといえるでしょう。
2.2 地方公共団体とのパートナーシップが構築できる
地方公共団体が携わる事業に参加できるため、ふるさと納税を通じて新たなパートナーシップが構築できます。自社でおこなっている事業に関連性の深いものや、新しいニーズの発見につながる可能性もあるでしょう。
2.3 企業としてのブランド力が高まる
企業版ふるさと納税で寄付をおこなうと、自治体や地方公共団体は寄付金を受け取ったことを発信します。社会貢献や地方創生に関心を持って取り組んでいる企業だと認識される点はメリットといえるでしょう。
2.4 人材派遣型を通じて人材育成ができる
企業版ふるさと納税には寄付するだけでなく、人材の派遣をおこなう形で地方創生の充実や強化を図るスキームもあります。企業側は地方創生に関連する専門的な知識やノウハウを持っている人材を、所在地の地方公共団体に派遣することが可能です。
加えて、企業側は人件費も含めた事業に関わる費用を寄付することで、最大9割相当の税額が軽減されます。
地方公共団体は、企業側がもつ専門的な知識やノウハウを吸収できます。派遣される人材の人件費も寄付金で賄われるため、経費の負担が軽減されるメリットがあります。
企業版ふるさと納税は企業にとってメリットの多い税制度ですが、デメリットもあります。ここからは3つのデメリットについて解説します。
3.1 企業は資金繰りや予算管理に影響が伴う
企業が支払う寄付金は前払い制です。それゆえ寄付をする際に、事前にキャッシュを用意しなければなりません。一時的にキャッシュが減少するため、資金繰りや予算管理に影響を及ぼす可能性があります。
3.2 返礼品などの利益を享受できない
企業版のふるさと納税は、個人でおこなうふるさと納税と異なり、寄付先の自治体や地方公共団体から返礼品などの利益を受け取ることができません。企業版ふるさと納税は、地方創生など主に社会貢献に重きをおいており、公平性と透明性を確保する必要があるからです。
3.3 税額控除になる金額には制限がある
企業版ふるさと納税で、税額控除を受けるには一部条件があります。それは、国の認定を受けた地方創生プロジェクトに対して寄付することです。自治体などの地方公共団体は、地方創生プロジェクトを開始するにあたって、事前に国の認定を受けなければなりません。
企業が企業版ふるさと納税に参加する条件と申し込み方法について解説します。事前に確認してから寄付の申し込みをおこないましょう。
4.1 企業版ふるさと納税の参加条件
内閣府の地方創生推進事務局は、「まち・ひと・しごと創生寄附活用事業に関するQ&A」を策定しています。それによると、企業版ふるさと納税の寄付が可能となる事業の条件は次のとおりです。
- ・地方版総合戦略に位置づけられた事業である
- ・地域再生・地方創生の実現を達成するためのKPI(指標)が設定されている
- ・PDCAサイクルが整備されており客観的な効果検証がおこなえる
これらの条件を満たした地方創生プロジェクトが国の認定を受けている事業です。企業版ふるさと納税ポータルサイトで認定されている事業が紹介されているので、参考にしましょう。
ただし、国の認定を受けている事業であっても、企業の本社所在地がある地域以外の寄付は税額控除の対象になりません。
4.2 企業版ふるさと納税の手続き方法
企業版ふるさと納税の手続き方法は次のとおりです。
1.寄付を検討している事業が、税額控除の対象になるのか確認
2.寄付金は10万円以上を用意
3.それぞれの市町村で提出を求められる「寄付申出書」を提出
4.市町村より納付書を郵送されるので寄付金を納付
5.市町村が入金を確認したのち、受領証を送付
6.受領証を添えて企業版ふるさと納税の適用を申告し、税額控除を受ける
企業版ふるさと納税の手続き方法は、どの市町村も同一です。ただし、寄付申出書はそれぞれの市町村ごとに様式が異なる場合があるので、事前に確認しておきましょう。
企業版ふるさと納税は、それぞれの都道府県市町村ごとに様々な形で活用されています。本記事では、企業版ふるさと納税の活用事例を4つご紹介します。
5.1 京都府京都市
京都府京都市は、2020年度から企業版ふるさと納税の活用に取り組み始め、多くの寄付金を集めることに成功しています。企業版ふるさと納税の寄付金は大切な財源です。
現在おこなわれている企業版ふるさと納税の内容を一部紹介すると次のとおりです。
- ・世界遺産・二条城本格修理事業
- ・いのちかがやく京都市動物園構想
- ・未来の芸術家を育成する京都芸大の移転整備に御支援を!~京都市立芸術大学移転整備事業~
- ・京都と琵琶湖と未来をつなぐ~日本遺産・琵琶湖疏水 観光船延伸プロジェクト~
- ・仮想空間上で復活! バーチャル京都館モデル実証プロジェクト
- ・「京まふ」を核としたマンガ・アニメの活用による地域活性化プロジェクト
京都市は歴史も古く文化遺産が数多くあるため、景観や環境の保存・再生を始めとした取り組みを進めてきました。危機的状況にある市の財政を改善するため、民間企業に寄付を募る企業版ふるさと納税の積極的な活用を推進しています。
5.2 群馬県富岡市
富岡市は群馬県の南西部にあり、自然が豊かな人口約4万6千人の都市です(※5)。近年、出生数より死亡者数が上回り、かつ大学などに進学するために転出した学生もそのまま市外で就職するケースも多く、人口減少が続いています。
奨学金を活用して大学や短大に進学したものの、卒業後の返還が負担となっているケースも見受けられます。
富岡市はそのような学生の負担を軽減し、奨学金の返還を支援する若者定住促進奨学金返還支援事業を開始しました(※6)。現在は、U・J・Iターンなど定住を促進をし、若年層の人口減少に歯止めをかけるために、この事業に企業版ふるさと納税の寄付金を活用しています。
※5)富岡市 市の人口(詳細)
※6)富岡市 令和5年度若者定住促進奨学金返還支援事業補助金
5.3 北海道大樹町
北海道大樹町では「大樹町まち・ひと・しごと創生推進計画」に位置づけされた事業から寄付する事業を選択できます。そのなかでも「宇宙のまちづくり事業」では、北海道スペースポートの整備にむけて寄付金を募っています。寄付金の募集方法は次のとおりです。
- 大樹町に直接寄付の申し込み
- 個人版ふるさと納税を活用(ふるさとチョイス、さとふる、CAMPFIRE)
- 企業版ふるさと納税を活用(直接申込み、ふるさとコネクト)
北海道スペースポートを推進するために、大樹町および6つの道内企業等が出資して町内にSPACE COTAN株式会社を設立(※7)。令和4年度の寄付件数は71件にのぼり、寄付額も約14億円を集めて2位を獲得しています(※8)。さらに令和4年度度「地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)に係る大臣表彰」の受賞者にも選ばれました(※9)。
※7)大樹町 北海道スペースポート(HOSPO)について
※8)PRTIMES 北海道大樹町、2022年度企業版ふるさと納税全国2位
※9)北海道 大樹町が令和4年度「地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)に係る大臣表彰」を受賞しました
5.4 徳島県神山町
徳島県神山町は人口減少に歯止めがかからず、高齢化にも悩んでいます。令和2年には高齢化率は50%を超えており、総人口に占める75歳以上の割合も30%を超える超高齢化社会に突入しました(※10)。
神山町は、若者の移住や定住を促進し関係人口を増加することを目的に「神山まるごと高専」の開校を決意しました。
神山まるごと高専の設立には、企業版ふるさと納税の寄付金を活用し、1期生の授業料の無償化に成功しました。企業版ふるさと納税を活用した学校設立は初めての試みです。
神山まるごと高専は、「テクノロジー×デザインで、人間の未来を変える」をコンセプトに掲げる2023年4月開校した私立高等専門学校です。2023年4月に「神山まるごと高専」は開校し、1期生44名と教職員が神山町に移住したり行き来したりすることになりました(※11)。
これにより、関係人口の増加や高い経済効果が見込まれています。北海道の大樹町と同様、令和4年度度「地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)に係る大臣表彰」の受賞者に選ばれました(※12)。
※10)神山町 介 護 保 険 事 業 計 画 高 齢 者 保 健 福 祉 計 画
※11)神山まるごと高専 学校創りの歩み
※12)内閣府地方創生推進事務局 令和4年度「地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)に係る大臣表彰」受賞者決定
「シラレル」は、マイクロアドが提供するBtoB向け商材の訴求に特化した広告配信プラットフォームです。業種ごとに、さらに上場の有無、従業員数、売上高の規模などに応じて分類されたビジネスデータを活用して、企業に対し広告配信をおこなうことができます。
マイクロアドは、広告配信プラットフォーム(DSP)に加え、広告収益を最大化するサプライサイドプラットフォーム(SSP)を自社で運営しています。また、自社のDSPにおいては、他社の様々なSSPサービスとの連携をおこなっています。
企業やビジネスパーソンのデータを活用し、企業版ふるさと納税に興味・関心のある企業をピックアップした広告配信も可能です。
自治体にとっては企業版ふるさと納税に加えて、いわゆる個人が行う「ふるさと納税」の寄付の獲得も重要です。同じくマイクロアドが提供する、ふるさと納税のプロモーションに適した「ふるさと納税でまちあげ」をご紹介します。
「ふるさと納税でまちあげ」は、ふるさと納税に興味関心のあるユーザーにターゲットを絞り込んで広告配信できるプラットフォームです。ふるさと納税利用者や控除額が多い高所得者等のターゲットを設定した
広告配信が可能です。
また、ふるさと納税に関する広告を配信した際に、広告への興味・関心を示しクリックした数から、ふるさと納税の見込み件数を算出することができます。
企業版ふるさと納税の仕組みと参加方法について解説しました。また、企業にとって企業版ふるさと納税をおこなうメリットとデメリットについても説明しました。
自治体にとっては地方創生の取組みをおこなううえで、企業からの寄付金を事業展開に役立てることができる制度です。
企業にとっても前払いで支出する必要はあるものの、法人関係税が軽減されるなど節税の効果もあります。さらに、自治体の地方創生の取り組みに賛同し協力していることが紹介されるため、自社のブランド力向上にもつながるでしょう。
企業版ふるさと納税の、税額控除割合の引上げ適用期間は2024年度までです。企業版ふるさと納税の寄付を多く集めるためには、それぞれの自治体が行っている事業についてプロモーションを展開することも重要です。
企業版ふるさと納税に加えて、ふるさと納税の寄付をより多く獲得するためのプロモーションには、「ふるさと納税でまちあげ」の利用をぜひご検討ください。
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