自治体向け:移住・定住施策の現状と課題|成功例と費用対効果について解説!
Ads Universityブログ編集部
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「自治体の人口減少が進んでおり、移住や定住を促進したいが、適切な方法がわからない」「移住・定住施策の費用対効果を高めたいが、何をしたらよいかわからない」
このような悩みを抱える自治体のご担当者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、自治体の移住・定住を促進するサポート事業や支援制度を紹介し、移住・定住を促進する施策の現状と課題について解説しています。
また、移住・定住施策の成功事例や費用対効果についても説明しているので、ぜひ最後までご覧ください。
目次を表示
- 地方への移住・定住が注目を集めている理由
- 移住・定住を促進するサポート事業や支援制度を紹介
2.1 起業支援金・移住支援金
2.2 移住就職支援
2.3 地域おこし協力隊
2.4 引っ越し費用補助
2.5 家賃の一部補助
2.6 空き家取得費・改修費の補助 - 移住・定住を促進するサポート事業と支援制度の成功事例
3.1 山形県東根市(ひがしねし)での成功事例
3.2 長野県原村での成功事例
3.3 高知県梼原町(ゆすはらちょう)での成功事例 - 移住・定住促進施策の現状と課題
4.1 仕事の課題
4.2 居住の課題
4.3 受け入れ体制の課題
4.4 定住段階のサポート不足 - 移住・定住施策の効果を高める方法
5.1 移住しやすい環境づくり
5.2 地域の特性を活かしたPR
5.3 ターゲット層のニーズを把握
5.4 競合他地域との差別化
5.5 移住・定住施策の費用対効果 - 自治体への移住・定住を支援するプラットフォーム「まちあげ」
- まとめ:効果的な施策に取り組み移住・定住施策の費用対効果を向上させよう
多くの企業でリモートワークが導入され、多様で柔軟な働き方が広まった結果、都市部から地方への移住・定住を現実的に考える方が多くなりました。Job総研 「2023年 地方移住の意識調査」によると、「テレワークを実施している」と答えた方の割合は96.1%にのぼります。
また、「地方移住ワークに興味ある」と答えた方は59.8%、30代では63.1%と高い割合です。
同調査によると地方移住ワークに興味ある主な理由として、以下が挙げられています。
- ・首都圏よりも居住費が安い
- ・転職せずに地方への引っ越しができる
- ・自然の中で生活ができる
国も地方移住を奨励し、各地域の特性に合わせた独自の取り組みを推進しています。
少子高齢化による人口減少が急速に進行する一方、東京圏への人口集中が続いており、人口格差は地域間における深刻な問題です。
特に若年層が地方から東京圏に流出し、地方の総人口および生産年齢人口が減少しています。
地域社会の担い手不足に加え、消費市場や地方経済の縮小も課題となっており、これらを解決するためには地方移住を促進する取り組みが重要です。
国や自治体によって、移住・定住をサポートする事業や制度がどのように実施されているかを把握すれば、実際に制度を作る際のイメージが湧きやすくなるでしょう。
ここでは、移住・定住に関わる事業や支援制度をご紹介します。
2.1 起業支援金・移住支援金
起業支援金とは、地方公共団体が主体となって取り組んでいる支援制度です。
都道府県が地方の課題解決に役立つ社会的事業を新しく起業する方を対象に、最大200万円の助成金を支給しています。
起業のための支援と事業費への助成を通じて、効果的な事業活動を促します。また、地方の課題解決を通して、地方創生の実現を目指しています。
移住支援金とは、東京23区に在住または通勤する方を対象とした支援制度です。
東京圏外へ移住し、その地で起業や就業をおこなう場合に、都道府県・市町村が共同で交付金を支給する事業です。
交付金は、世帯の場合は100万円以内、単身の場合は60万円以内で、都道府県が設定した額が支給されます。なお、本事業は実施している都道府県・市町村が限られているので、詳細は各自治体のホームページをご参照ください。
2.2 移住就職支援
「移住就職支援」とは、自治体への移住を機に、地域での就職を希望する者に対し、就職活動にかかる旅費を補助する支援制度です。
実際に、北海道帯広市では、「帯広・十勝移住就職応援プラン」という支援を実施しています。道外からの訪問は最大50,000円(同伴者がいる場合上限90,000円)、道内からの訪問は最大25,000円(同伴者がいる場合上限45,000円)の補助を受けることが可能です。
また、UIターン希望者への支援をおこなっている自治体もあります。新潟県糸魚川市では、「UIターン修学資金返済支援事業補助金」を支給しています。これは、UIターンし新たに職に就く方と、その親の奨学金・教育ローン返済をサポートする取り組みです。
2.3 地域おこし協力隊
地域おこし協力隊とは、都市地域から過疎地域などに住民票を移し、地域ブランドや地場産品の開発・販売・PR等の地域おこし支援をおこなう取り組みです。
農林水産業への従事や、住民支援などの「地域協力活動」を実施しながら、その地域への定住・定着を図ります。
また、総務省は地域おこし協力隊の推進に取り組む地方自治体に対して、以下の経費について、特別交付税措置を講じています。
- 地域おこし協力隊員の募集等に要する経費:1団体あたり上限300万円
- 地域おこし協力隊員の活動に要する経費:隊員1人あたり上限480万円(※1)
なお、総務省の「令和5年度 地域力創造グループ施策について」によると、隊員の約7割が20代と30代です。任期は一般的に1年〜3年で、任期終了後、およそ65%が同じ地域に定住するというデータが示されています。
※1)総務省 地域おこし協力隊について①
2.4 引っ越し費用補助
移住時の引っ越しに必要な費用を助成する自治体もあります。
北海道秩父別町では、「新婚・子育て世帯引越し費用助成」をおこなっています。
対象となる住宅は民間賃貸住宅・公的賃貸住宅・持家・実家で、対象世帯は町外から転入し3年以上定住する意思がある新婚世帯・子育て世帯です。新婚世帯・子育て世帯で定額20万円、高校生以下の子どもが3人以上の場合は定額30万円を受け取ることができます。
また、兵庫県豊岡市では、「豊岡市定住促進事業補助金」を支給しています。
これは、若年世帯又は子育て世帯が市内の住宅等へ引っ越す際の費用を、最大20万円まで補助するプログラムです。
2.5 家賃の一部補助
移住者に対し、家賃の一部補助に取り組んでいる自治体もあります。
北海道上川町では、移住・定住を促進し定住人口の増加を目的とした「上川町民間賃貸住宅家賃助成事業補助金」を、以下の条件を共に満たす場合に交付しています。
- ・町外に居住する満 40 歳未満の方若しくは高校生以下の子と同居する方
- ・町内の事業所に勤務し、町内の民間賃貸住宅を借りて転入
これらの条件を満たす場合、家賃を月額最大2万円まで助成する制度です。
また、鳥取県 境港市では、IUJターンで市内に住む認定新規就農者に対し、「就農住宅整備事業」として家賃(上限2万円/月×最大5年間)の補助をおこなっています。
2.6 空き家取得費・改修費の補助
地方へ移住し、空き家を購入・改修時の費用補助を実施している自治体も少なくありません。
和歌山県橋本市では、「わかやま空き家バンク」「橋本市空家バンク」に登録された物件を、賃貸または購入する場合に、補助金を交付しています。「空き家お試し暮らし・移住応援補助金」という制度で、空き家賃貸の場合は最大16万円、購入の場合は最大20万円の補助を受けることが可能です。
三重県名張市では、「移住促進のための空家リノベーション支援事業」を実施しています。市外からの移住者が空き家の改修工事をおこなう際に、改修費用3分の1以内(上限100万円)の助成を受けられます。
他地域での移住や定住をサポートするプロジェクトや支援制度における成功例を学び、成功要因を分析することは、効果的な施策を検討するうえで有益です。
ここでは、定住・移住支援の成功事例をご紹介します。
3.1 山形県東根市(ひがしねし)での成功事例
山形県東根市は、昭和50年代から大規模な区画整理を実施し、商業施設や工業団地を整備して「職住近接」の取り組みを進めました。
この取り組みが、降雪量が比較的少ない利点も相まって、半世紀以上にわたって社会増が続いています。
取り組みの成果として、農業市内総生産は増加し、工業製造品出荷額も年々増加傾向です。さらに、平成24~28年の5年間の新規就農者数が74名にのぼる(※2)など、地域の活性化と経済成長が進んでいます。
また、教育・人づくりにも力を入れ、県内初となる県立中高一貫校誘致や、国際化教育の強化など、教育水準の向上にも力を入れています。
職住近接の取り組みや、質の高い学習環境を整えたことにより、地域の成長と活性化に寄与している成功事例です。
3.2 長野県原村での成功事例
長野県原村の移住・定住施策が成功した理由として、昭和50年代から人口減少対策を着実に進めてきた点が挙げられます。原村は人口減少に対する危機感から、宅地・別荘地・ペンションビレッジなどの社会資本整備を推進し、移住促進や交流人口の拡大に注力しました。
また、魅力的な自然環境や好条件な立地を活かした広報を実施し、実生活に根付いた移住促進策に取り組んできました。その成果として、移住・交流事業を通じて平成20年度〜平成28年度の9年間で127組、244人の移住者(※3)を受け入れることに成功しています。
ほかにも、おためし生活を体験できる機会提供などをおこなう「原村田舎暮らし案内人」の育成を開始しました。この組織を通じて、移住希望者が抱く不安を解消し、サポートする体制を整えました。
さらに、高齢者や子どもの医療の無償化など、充実した福祉制度の導入も移住者の興味関心を惹き、移住・定住の促進につながっています。
3.3 高知県梼原町(ゆすはらちょう)での成功事例
高知県梼原町では、住民の声に真摯に耳を傾け、まち・ひと・しごとの面でバランスの取れた対策を実施しています。
長年にわたる人口減少に対応するため、町は住民全戸から課題を聞き取り、交通手段や雇用対策などに対処してまちづくりを進めました。住環境整備が重要だと認識した梼原町は、移住者への貸し出しを承諾した家主と契約し、定期借上げとリフォームに取り組んでいます。
すぐに入居可能な住宅を提供したことで、移住者のニーズに対応できた事例です。施策の成果として、平成26年~平成28年の3年間で、117人の移住者を受け入れ、35戸の空き家活用に成功しています(※4)。
また、教育の充実にも力を入れており、子育て支援や英語学習意欲を育む留学制度を導入しています。
※2,3,4)内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局 移住・定住施策の優良事例集(第1弾)
移住や定住を奨励する自治体の取り組みの現状と課題を把握して、移住者の需要やニーズを理解しましょう。
ここでは、移住・定住促進施策の現状と課題をご紹介します。
4.1 仕事の課題
地方へ移住・定住する際の課題として、収入減や、自分に合った仕事がなかなか見つからないなど「仕事」の課題が挙げられます。
地方の仕事には、インターネット検索だけでは探すことが難しい求人もあり、実際に移住を希望している土地へ赴いて仕事を探す必要がある場合も少なくありません。
しかし近年、多くの企業がリモートワークを導入し、「リモートワーク移住」を支援する自治体の補助金や支援制度制度が設けられました。その結果、転職をせずに地方移住を叶える方も増えています。
4.2 居住の課題
「居住の課題」とは、東京と比べて地方には賃貸住宅が少なく、居住地を見つけることが難しいというものです。
一方で、地方には空き家対策の課題も存在し、これを上手く活用すれば住居不足の解消につなげられる可能性もあります。
しかし、適切な改修や再利用が難しい場合も多く、空き家を十分に有効活用できていない自治体も少なくありません。
また、住む場所だけではなく、移住後に地域の習慣や人間関係に馴染めるか不安に思う方も多いという課題もあります。
4.3 受け入れ体制の課題
地方移住における受け入れ体制の課題として、移住者が新しい地域で「ヨソモノ」として扱われることへの不安や不信感が挙げられます。
自治体が移住・定住の促進による人口増加や地域振興を期待する一方で、地域住民は文化やコミュニティの変化に対し不安を抱えている場合もあるでしょう。また、移住者のニーズと地域の提供できるサービスが一致しないことも問題です。
さらに、公共交通機関・教育施設・医療期間や福祉施設の不足も大きな課題です。これらの充実なくして、移住者やその家族の安心安全な生活の確保は難しいといえます。特に、子育て世代にとって教育環境が整備されているかどうかは、非常に重要なポイントです。
4.4 定住段階のサポート不足
移住前から移住を決めるまでの支援は充実しているが、定住段階の支援やサポートが整っていない点も大きな課題です。
自治体としては、移住・定住後のサポート体制をどのように構築するべきかわからないケースも少なくないでしょう。
コミュニティや良好な人間関係は、住民の満足度や安心感を高め、地域での住みやすさに大きな影響を及ぼします。(※5)
そのため、定住に至る段階ではコミュニティや人間関係を円滑にするような自治体の支援やサポートが必要です。
地方自治体は、定住段階での支援をさらに強化しなければ、持続的な移住施策の効果をあげるのは難しいでしょう。
※5)国土交通省 大都市圏におけるコミュニティの再生・創出に関する調査結果について
自治体の移住・定住施策が及ぼす効果は、施策内容や実施地域の状況、対象となる方々のニーズなどによって異なります。
効果的な評価手法や期間を設定し、施策改善や最適化への取り組みが重要です。
5.1 移住しやすい環境づくり
移住施策の成果を向上させるためには、移住しやすい環境づくりが欠かせません。適切な居住地の提供・雇用機会の確保・地域の魅力発信や利便性の向上など、移住者が新たな生活を始めやすい環境を整えましょう。
また、住宅補助や定住支援金など、直接的なインセンティブを提供する施策は効果が高くなる傾向にあります。生活に不可欠な施設や交通インフラの整備、通勤費の助成など、移住しやすい環境と制度の整備が求められます。
5.2 地域の特性を活かしたPR
地域の魅力や文化、風景など独自の地域資源を積極的に発信し、移住者に魅力を伝えることも重要です。また、「地元特産物の農業に従事する」など地域で実現できる暮らしの具体的ビジョンを提案することも、PRの一環として効果があります。
地域の強みをアピールし、移住者がその地で充実した日々を過ごせる状況を示せば、移住者の興味を惹き、移住に対する意欲を高められるでしょう。
5.3 ターゲット層のニーズを把握
移住や定住を考える方々のニーズや希望に合致した施策の策定も重要なポイントです。
例えば、若い世代にとっては雇用機会や充実した教育環境が重要であり、これらに焦点を当てた支援が求められます。高齢者にとっては、福祉や医療機関の充実度が大切になるでしょう。
ターゲット層のニーズに対応した施策の実行によって、移住者が充実した生活を送れる環境を整備でき、地域の活性化や成長につながります。
5.4 競合他地域との差別化
移住施策の成果を高めるためには、競合他地域との差別化が不可欠です。地域の独自性や他地域への優位性をアピールし、地域の魅力を的確に伝えることができれば、移住者はその独自性に惹かれるでしょう。
また、他地域で成功した事例をそのまま取り入れるのではなく、地域の個性や特徴に合わせた施策立案が必要です。地域の強みや特性を最大限活かすことによって他地域との差別化ができ、移住者に対し効果的なアピールとなるでしょう。
5.5 移住・定住施策の費用対効果
移住・定住施策の費用対効果とは、その施策に投じた費用ともたらす結果のバランスを指します。費用対効果を把握するには、投じられた費用に対して、施策がどれだけの成果を上げたのかを評価する数値や指標が必要です。
移住・定住施策に関して、KPI(重要業績評価指標)は移住人数などで設定できます。しかしながら、どの施策がどれくらいの効果があったかを表す費用対効果の測定は、なかなか難しいという実情があります。
「まちあげ」は、自治体の課題解決に特化した移住や定住を支援する広告配信プラットフォームです。移住・定住を訴求するターゲティング広告を配信できるだけでなく、配信結果の分析も可能です。
また、広告に興味を持った方の自地域への来訪計測をおこない、見込み移住者を算出することで、広告の費用対効果が計測できます。広告配信後に作成される分析レポートでは、可視化された状態で結果を確認できるため、どの施策の効果が出ているかが一目で判断できます。
レポートの分析を元に、施策改善や変更、全体的な戦略策定への活用が可能です。
自治体が自地域への移住や定住の促進を図るには、移住希望者のニーズを把握したうえで、効果的な施策の策定と実行が重要です。
また、移住しやすい環境づくりや地域の特性を活かしたPRが不可欠です。
移住や定住の促進を目的としたWebプロモーション実施の際は、広告の費用対効果を計測できる広告配信プラットフォーム「まちあげ」の利用もおすすめです。
自治体のご担当者は、ぜひ本記事を参考にしてください。
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