【BtoG入門】対自治体プロモーション成功のための教科書
Ads Universityブログ編集部
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「BtoB」や「BtoC」という言葉を、ビジネスシーンで耳にする方も多いのではないでしょうか?
ビジネスの取引形式には、企業間の取引を意味する「BtoB」、あるいは企業から消費者へ向けた取引を表す「BtoC」など、様々な形態があります。その中でも、今回の記事では「BtoG」を取り上げます。
「BtoG」とは「Business to Government」の略で、企業と行政・自治体との間でおこなわれる取引を指します。
このBtoGの市場規模は、日本国内だけでも25兆円にのぼります。
企業にとって、行政・自治体との取引には大きなビジネスチャンスがあるといえるでしょう。
自治体は「人口減少」や「地域経済の縮小」といった地域の課題に取り組み、課題の解決のために様々な施策を実施しています。
その一環として自治体と民間企業が協働する「官民連携」を強化し、民間企業のノウハウを活用した地域活性化を推進しています。
その一方で、企業側が自社のサービスを自治体に理解してもらうためには、行政・自治体に向けた適切なプロモーションが不可欠です。
今回の記事では、BtoGビジネスの特徴から自治体とのビジネスの進め方、そしてプロモーションの方法について詳しく解説します。
自治体とのビジネスを成功させるためのコツや、具体的なBtoGビジネスの事例などについてご紹介するので、BtoGビジネスについての理解を深めましょう。ぜひ最後までご覧ください。
目次を表示
- ビジネス取引形式の概要
1.1 BtoG|企業と政府間の取引
1.2 BtoB|企業間の取引
1.3 BtoC|企業と消費者間の取引
1.4 BtoE|企業と従業員間の取引
1.5 CtoC|消費者間の取引
1.6 GtoC|政府と消費者間の取引 - 年間25兆円の巨大マーケット|BtoGビジネスの特徴と市場規模
2.1 BtoGビジネスの特徴
2.2 BtoGビジネスの市場規模
2.3 BtoGビジネスの将来性 - 自治体営業の注意点
3.1 移動コストを考慮に入れる
3.2 成立までに時間がかかる
3.3 人柄よりも実績や成功事例を重視する
3.4 複雑な契約プロセスを理解する - BtoGプロモーションの重要性と主な広告媒体
4.1 自治体専門情報誌・フリーペーパー
4.2 自治体専門Webメディア - BtoGビジネス情報をどこで得るのか
5.1 各自治体のホームページ
5.2 入札情報サイト - 政府によるBtoGビジネス促進支援策
6.1 トライアル発注制度
6.2 デジタル田園都市国家構想交付金 - 自治体向けBtoGビジネスの事例紹介
7.1 移動支援で地域経済を活性化|株式会社Luup
7.2 Webサイトの多言語化をサポート|Wovn Technologies株式会社
7.3 オンライン本人確認に貢献|株式会社TRUSTDOCK
7.4 業務改善と働きやすい環境づくりを支援|株式会社SmartHR
7.5 オンライン医療相談システムを提供|株式会社Kids Public - BtoGプロモーションを支援する「まちあげ」
- まとめ
「BtoG」や「BtoC」など、ビジネス取引には様々な形式があります。BtoGビジネスについて解説する前に、まずは代表的な取引形式についてご説明します。
1.1 BtoG|企業と政府間の取引
BtoG(Business to Government)は企業と政府間のビジネスで、官公庁や地方自治体、行政法人を相手方とした取引を指します。
企業が政府や自治体などに製品やサービスを提供したり、あるいは公的プロジェクトに対して提案をするケースが一般的です。これらの取引は通常、公開入札や随意契約によりおこなわれます。
1.2 BtoB|企業間の取引
BtoB(Business to Business)は企業間の取引で、企業がほかの企業に対して製品やサービスを提供します。この取引には、材料の供給・製品製造・サービス提供など、多様な形式が含まれます。双方の信頼関係が大切であり、長期的な関係性の構築が必要であることが一般的です。
1.3 BtoC|企業と消費者間の取引
BtoC(Business to Customer)は企業と消費者間の取引で、企業が製品やサービスを直接消費者に提供します。消費者の購買行動は感情やブランドイメージに大きく影響されるため、イメージづくりやプロモーションが重要です。
1.4 BtoE|企業と従業員間の取引
BtoE(Business to Employee)は企業とその従業員間の取引で、福利厚生の一部として提供される製品やサービスを指します。
例えば、社員食堂の運営やケータリングサービスなどが該当します。
1.5 CtoC|消費者間の取引
CtoC(Customer to Customer)は消費者間の取引で、一般的にはフリーマーケットやオンラインオークションなどで個人が商品を売買する形態を指します。
特徴としては、感情やイメージで購買判断がおこなわれる点や、短期的な成果を上げやすい点などが挙げられます。
1.6 GtoC|政府と消費者間の取引
GtoC(Government to Customer)は政府と消費者間の取引で、住民が政府や自治体からサービスを受ける形を指します。
例えば、パスポートの発行や公共施設の利用などがこれに該当します。公的な手続きは法律の遵守が必須であり、値引きや交渉などはおこなわれません。
BtoGビジネスは巨大な市場規模を持つ一方、ほかの取引形式とは異なる部分が多い特殊なビジネスです。BtoGビジネスの特徴と市場規模についてご紹介します。
2.1 BtoGビジネスの特徴
BtoGビジネスは、一般的に入札によって仕事の受注が決まります。
一般競争入札、指名競争入札、そして随意契約が主な受注方法です。
BtoGビジネスにおけるもう1つの特徴は、発注や契約のスケジュールです。
BtoBやBtoCとは異なり、BtoGビジネスの発注のタイミングは行政の予算組みのサイクルに依存しています。さらに、部署をまたいだ調整や確認が必要で、企業との取引と比べてより多くの日数がかかる場合も多いです。
それゆえ、余裕のあるスケジュール管理と担当者との密なコミュニケーション・調整が必要です。
また、電子入札システムの普及により、インターネット環境さえあれば、入札実績のない企業でも気軽に入札案件を探し、参加することができるようになりました。
2.2 BtoGビジネスの市場規模
令和3年度のBtoGビジネスの市場規模は、国・独立行政法人などで9兆2,944億円(※1)、地方公共団体で16兆7,106億円(※2)を超え、合計25兆円以上に及びました。
これは企業にとって巨大なビジネスチャンスであることを示しています。また、BtoG市場は年間を通じて季節による変動が少なく、安定したビジネス環境が整っているともいえます。
2.3 BtoGビジネスの将来性
国は中小企業向けの入札案件を増やす方針を定めており、特に中小企業にとってよいビジネス環境の整備を進めています。中小企業庁の掲げる具体的な数値目標は、中小企業・小規模事業者向け契約の比率が全体の61%、その金額は5兆6,598億円(※3)です。
さらに、政府は新しい取り組みとして、新技術や新サービスの活用を通じてより多くの企業との取引を促進しようとしています。特に、2022年11月に策定された「スタートアップ育成5か年計画」に基づき、新たな技術やアイデアを持つ企業にとっての受注機会が増大する可能性があります。
※1)令和5年度中小企業者に関する国等の契約の基本方針 - 中小企業庁
※2)令和3年度地⽅公共団体による中⼩企業者の受注機会の増⼤のための措置状況等調査結果
※3)官公需法に基づく「令和5年度中小企業者 に関する国等の契約の基本方針」について - 中小企業庁
自治体ビジネスはその市場規模の大きさや将来性から注目されるものの、受注に向けた営業には様々な課題が存在します。ここでは、そのポイントを4つご紹介します。
3.1 移動コストを考慮に入れる
自治体営業は、1つの商談に対する移動のコストが高いことを意識する必要があります。
特に地方自治体に対する営業は、離れた場所への訪問が求められ、そのための人件費や交通費がかさみます。地方では自治体間の距離が数十キロ離れていることも珍しくないため、事前に詳細な訪問計画を練り、効率的なルートを設定することが求められます。
3.2 成立までに時間がかかる
自治体との取引は、予算組みのタイミングや審議プロセスの複雑さから、提案から成立までの期間が長くなる傾向があります。
また、年度始めに組まれた予算に沿って動くことが一般的です。自治体営業ならではのスケジュール感を把握し、早めの行動を心掛けることが大切です。
3.3 人柄よりも実績や成功事例を重視する
自治体のビジネスは、公的資金(税金)を使用するため、常に慎重さが求められます。それゆえ、商談の際は人柄よりも成功事例や実績が重視されます。
したがって、ある自治体での成功事例はほかの自治体の取引にも大きな影響を与えかねません。自社の実績や成功事例を強調し、提案に組み込むことが効果的だといえるでしょう。
3.4 複雑な契約プロセスを理解する
自治体ビジネスの契約プロセスは一般的なBtoBとは異なり、複雑で時間がかかることが特徴です。
具体的には、意思決定の後には公平性を保つための公募や入札というプロセスが存在します。これは住民から集められた税金を公正に使用するために必要な手続きです。
また、公募や入札の申請期限・有効期間・申請方法などは自治体ごとに異なる場合もあるため、各自治体のルールを理解する必要があります。
BtoGプロモーションを展開するにあたって、自治体向けの情報誌やWebメディアを把握しておくことは大切です。
なぜなら、自治体の課題や自治体職員の興味関心を理解することで、それに対応した自社のサービスの効果的なPRが可能になるからです。
代表的な自治体専門誌と自治体専門Webメディアをご紹介します。
4.1 自治体専門情報誌・フリーペーパー
まずは自治体向けの情報誌・フリーペーパーをご紹介します。これらの媒体を通じて、具体的な自治体の課題やニーズについて理解を深め、自社サービスの効果的なPRに役立てましょう。
<自治体通信>
自治体通信は、地方自治体向けに国の現状を含む様々な情報を提供しています。無料で配布されており、その内容は読者の69%から「参考になる」との評価を得ています。
<ジチタイワークス>
主に自治体職員向けに配布されるこのマガジンは、自治体の最新事例やユニークな事例を紹介し、業務改善のヒントを提供しています。広告の掲載ができるため、自社サービスをPRしたい企業にとって魅力的な媒体です。
<月刊ガバナンス>
月刊ガバナンスは、行政改革・災害対策・社会保障・まちづくりなど、自治体の重要なテーマを取り扱っているのが特徴です。自治体経営に関わる方々が必要とする先進的な事例を多く掲載しています。
<月刊事業構想>
月刊事業構想は、「地方創生×イノベーション」をテーマにした雑誌です。地域活性化や業務変革を志す自治体職員、新しいビジネスアイデアを求める経営幹部などに読まれています。
<地域づくり>
地域づくりは地域活性化に向けた情報を提供し、自治体職員の実践的な声を多く掲載しています。
BtoGプロモーションには、具体的な自治体の課題解決を目指し、それぞれの媒体の特性を生かしたアプローチをおこなうことが大切です。自治体職員への訴求力の高いこれらの情報誌を有効に活用しましょう。
4.2 自治体専門Webメディア
Webメディアは情報の更新が迅速であり、自治体関係者とのインタラクションも可能です。代表的な自治体専門Webメディアをご紹介します。
<自治体通信オンライン>
自治体向けのブランディング支援を中心におこなっている情報サイトです。幅広いサービスを提供しており、その中にはBtoGの専用プラットフォーム・DM配信・電子メールマガジン・テレマーケティング・ウェビナーのスポンサーシップなどがあります。
<ジチタイワークスWEB>
自治体職員向けの情報提供を目的としたWebメディアで、ヒントとアイデアを提供する行政マガジン「ジチタイワークス」のWebサイトです。自治体職員のスキルアップや業務改善の支援を目指しています。
<自治体クリップ>
観光施策やPR動画、自治体関連の記事やインタビューなどを通じて、「気づき」や「発見」を促す情報を提供しているオウンドメディアです。自治体関連の様々なテーマについての情報を独自の視点で提供し、自治体と協働する企業や住民にとって有益な情報を発信しています。
<ジチタイムズ>
地方創生やまちづくり・IT活用などのテーマを扱い、自治体で働く方々や地方創生に関与する方々向けのWebメディアです。
先進的な自治体の事例紹介や、有識者インタビュー・自治体関連情報の解説・イベント情報など、各種テーマに関連した有益な情報を提供しています。
これらの情報を自社のBtoG戦略に役立て、自治体に対する効果的なプロモーションをおこないましょう。
BtoGビジネス市場のトレンドや競合他社の動向、新たなビジネスチャンスを探るためには、入札情報の把握が欠かせません。ここからは、主要な情報収集の手段をご紹介します。
5.1 各自治体のホームページ
各自治体の公式ホームページでは、その自治体が発注する公共事業の入札情報を直接確認できます。例えば千代田区のホームページには「入札・契約」の項目があり、最新の入札情報や契約結果・入札スケジュールなどが随時更新されています。
5.2 入札情報サイト
入札情報をまとめて閲覧できるウェブサイトも存在します。全国各地の公共機関の情報を手軽に確認できるため、利便性の高い情報源といえるでしょう。
<調達ポータル>
全国の府省庁共通で使用することができ、調達案件の検索から契約までの一連の手続きをオンラインでおこなえる便利なシステムです。1つのサイトで統一資格の申請から入札・契約・請求までの一連の業務を処理することができます。利用登録にはマイナンバーカードが必要です。
<NJSS>
NJSSは国内最大級の入札情報サイトで、公共機関のウェブサイトから専門スタッフが入札情報や応札・落札情報を収集し、まとめてユーザーに提供します。全国7,000以上の発注機関の案件情報がまとめられており、自社に最適な案件を探すことができます。
<官公需情報ポータルサイト>
中小企業庁が運営する官公需情報ポータルサイトは、国や地方公共団体・独立行政法人などがウェブサイト上に掲載する入札情報を検索することができます。具体的なキーワードや受注内容・入札日・納入期限・地域など、利便性の高い検索カテゴリーが実装されているのが特徴です。
<入札情報サービス>
国土交通省が運営する入札情報サービスは、これまで各地方整備局や工事事務所等で公表されていた情報を、一箇所で一元的に提供しています。発注予定情報・発注情報・入札結果を簡単に入手・検索することができます。
BtoGの営業戦略の一環として、経済産業省が推進している中小企業向けの支援策をご紹介します。
6.1 トライアル発注制度
この制度は、新規中小企業やスタートアップが高品質な製品や革新的な技術を開発している場合に、自治体が試験的に新商品を購入して評価や広報をおこなう制度です。
まだ受注実績の少ない企業にとって、受注実績を積み、販売網を拡大するための貴重な機会となり得ます。
6.2 デジタル田園都市国家構想交付金
デジタル技術を活用して地方創生を推進するための交付金です。
「デジタル実装タイプ」は、デジタル技術を使って地域の問題を解決し、魅力を向上させるプロジェクトを支援します。「地方創生推進タイプ」および「地方創生拠点整備タイプ」は、観光や農林水産業の振興など地方創生に寄与する取り組みや基盤施設の整備を支援します。
ここからは、企業が自治体とビジネスの連携を通じて、地域の課題解決に貢献した事例を5つご紹介します。
7.1 移動支援で地域経済を活性化|株式会社Luup
Luupは、公共交通機関のカバーが難しい"ラストワンマイル"を解決するための電動キックボードを提供する企業です。このサービスにより地域間の移動がスムーズになり、利用者の行動範囲が広がることで、地域経済の活性化が見込まれます。
大阪市北区や東京都杉並区などと連携協定を結び、放置自転車対策や安全な街づくりの推進、既存公共交通の補完・代替といった課題解決に取り組んでいます。
7.2 Webサイトの多言語化をサポート|Wovn Technologies株式会社
Wovn Technologiesは、Webサイトやアプリを容易に多言語化するソリューションを提供し、外国語ユーザーへの情報発信を支援しています。
北海道ニセコ町や東京都足立区と連携して、多くの外国人観光客や移住者への情報提供をサポートするなど、実績を残しています。
7.3 オンライン本人確認に貢献|株式会社TRUSTDOCK
TRUSTDOCKは、法令に準拠した本人確認のオンライン化サービスを手がけています。これにより、オンラインでの各種行政手続きが可能になりました。
農林水産省共通申請サービスや富山県の「Digi-POC TOYAMA実証実験プロジェクト」などで導入され、市民サービスの向上に貢献しています。
7.4 業務改善と働きやすい環境づくりを支援|株式会社SmartHR
SmartHRは、人事・労務管理の効率化を図るクラウドサービスを提供する企業です。業務を効率化し、時間とコストの削減を実現し、働きやすい環境づくりを支援しています。
滋賀県長浜市などでSmartHRのクラウドサービスは導入されており、行政の人事・労務業務のデジタル化に寄与しました。
7.5 オンライン医療相談システムを提供|株式会社Kids Public
Kids Publicは、産婦人科や小児科が不足する地域や、保健師の不足する時間帯に対応するためのオンライン医療相談システムを提供しています。これにより、保護者は子供の健康状態について医療専門家にいつでも相談でき、適切なアドバイスを受けることができます。
神奈川県横浜市港北区や山口県長門市・美祢市などで導入され、地域の医療環境改善に大きく貢献しました。
「まちあげ」は、自治体のニーズや課題に特化した広告配信サービスです。属性や特定業種従事者など、セグメントを限定したターゲティング広告配信が可能です。
また、マイクロアドのプランナーが提案から広告運用まで、広告の効果を最大化するためのサポートを提供します。さらに、配信後の広告効果を評価するための詳細な分析レポートも提供可能です。BtoGビジネスの可能性を広げる手段としてぜひご活用ください。
企業にとってBtoGビジネスは、その巨大な市場規模や社会貢献の可能性により、数々のビジネスチャンスを秘めています。
ただし、受注のためにはBtoG特有のルールや独自のアプローチを理解し、適切なプロモーション戦略を立てることが求められます。
この記事を通じてBtoGビジネスの基本的な知識を深め、具体的なアクションプランを立てる際の参考にしてください。
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