※このブログは、提携企業である【Jampp】のブログを翻訳したものです。
参考記事: SKAdNetwork 4.0 vs SKAdNetwork 3.0
こんにちは、Jampp University編集部の三谷です。
SKAdNetwork 4.0は、2022年10月24日にiOS 16.1とともにリリースされました。
AppleのSKAN 4.0リリースノートに沿って、この記事を作成しています。
本稿ではSKAdNetwork4.0の変更点に関して言及させていただきますが、IDFAとSKAdNetworkの違いについて知りたい方は、過去に更新しているブログ「IDFAとSKAdNetworkの違いを徹底解説!」をご参照いただけますと幸いです。
早速ですが、SKAdNetwork 4.0の主な変更点は以下の通りです。
1. 階層的なソースID
この記事では、Appleがリリースした各アップデートについて、iOSキャンペーンの拡大を目指すアプリ広告主にとって実際にどのような意味があるのかを掘り下げていきます。
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ー 何が変わるのか?
・「キャンペーンID」から「階層的なソースID」に名称変更:名称変更に伴ない、アプリのインストールがどのキャンペーンに起因するのかが分かるようになり、また、その他のアトリビューション情報を広告主が識別できるようになりました。
・ソースIDの範囲が2桁から4桁に:このフィールドは、2桁、3桁、4桁の数字の組み合わせで構成される一つの数字と考えるとわかりやすいです。
ー何を意味するのか?
キャンペーンの構成や変数のテストがより柔軟に:SKAdNetwork3.0以前では、決定論的なアトリビューションを得るためにキャンペーン変数をテストするためのキャンペーンIDは100個しかありませんでしたが、SKAdNetwork4.0では潜在的には10,000通りのIDの組み合わせが可能になります。
以前の2桁のフォーマットでは、非常に制限が多かったので、ポジティブな変更です。ただし、2桁の数字は常にポストバックされますが、残りの2桁の数字は、コンバージョン値の仕組みと同様に、Appleの「プライバシー閾値(しきいち※)」が適用されます。
※閾値:ポストバックされるデータの内容が変わる境目となる値のこと。
簡単に言うと、キャンペーンのインストール数がプライバシー閾値を満たさない場合、2桁の数字しか利用できず、したがって100個のキャンペーンIDしか利用できないことになります。
予算が高いほど、キャンペーンが閾値を満たし、SKAN 4.0の4桁の識別子を最大限に活用できる可能性が高くなります。利用可能な桁数は、インストール数と関連しています。3桁を取得できる閾値と、4桁のソースIDを完全に開放する閾値の2種類があります。
ー何が変わるのか?
コンバージョン値は2種類に分類される:
・粒度が細かい値:この種類は現状のコンバージョン値を指し、6ビット値(最大64個の変数を持つ)で、価値のあるパフォーマンスの洞察を収集するために設定することができます。
・粒度が粗い値:この新しい種類は、高、中、低の3つの値を取得できます。
※画像引用元:SKAdNetwork 4.0 vs SKAdNetwork 3.0
ただし、測定画面では両方の値が取得されますが、広告主にはどちらか一方の値しか送信されません(詳細は後述)。
ー何を意味するのか?
インストール後の行動を示す指標の変化:SKAN 4.0では、コンバージョン値が得られるかどうかは、ダウンロード数とキャンペーンで満たされたユーザーのプライバシーレベルによります。
どのようなコンバージョン値を得るか(あるいはコンバージョン値を全く受け取らないか)を決定するために、Appleはcrowd anonymity(群衆の匿名性)を利用しています。このシステムには、インストール数に基づいて4つの異なる階層があります。
階層 0
インストール数が少ないため、プライバシー閾値を満たしていないです。このシナリオでは、コンバージョン値を得ることができず、2桁のソースIDのみ得ることができます。
階層 1
インストール数は少ない方ですが、プライバシー閾値を満たすには十分です。この段階のポストバックは、少なくとも品質の指標となる粒度が粗いコンバージョン値と、2桁のソースIDを得ることができます。
階層 2
閾値を満たすほどインストール数が多く、ユーザーの独自性が群衆に混じり始める中間の階層です。この段階のポストバックは、最初のポストバックで粒度が細かいコンバージョン値を、2回目と3回目のポストバックでは粒度が粗いコンバージョン値を、そして2桁、3桁または4桁のソースIDを得ることになります。
階層 3
インストール数が十分に多く、群衆の匿名性を損なうことなく、詳細なアトリビューションデータにアクセスできます。この段階のポストバックでは、最初のポストバックで粒度が細かいコンバージョン値を、2回目と3回目のポストバックでは粒度が粗いコンバージョン値を、2桁、3桁または4桁のソースIDを、そしてアプリに表示される広告の場合はソースアプリIDまたはWeb広告経由であればソースIDを得ることことができます。
広告主は、この新しい粗視化された値を、MMPパートナーと協力して、SKANの実装に対応させる必要があります。
ー何が変わるのか?
これまで1回しか受け取れなかったポストバックが、最大3回まで受け取れるようになり、それぞれのポストバックは特定のコンバージョンウィンドウに基づいて行われます。
・ポストバックウィンドウ 1:0~2日
・ポストバックウィンドウ 2:3~7日
・ポストバックウィンドウ 3:8~35日
すべてのコンバージョンウィンドウは、複数のエンゲージメントを含むことができます。しかし、最初のポストバックだけが、前述の粒度が細かいコンバージョン値を受け取ることになり、残りは粒度が粗いコンバージョン値を受け取ります。ただし、階層0の場合は2回目以降のポストバックは受け取れず、最初のポストバックのみ受け取ることになります。
ー何を意味するのか?
広告主は、広告をクリックした後、ユーザーがどの程度アプリに関与したかをさらに可視化できるようになります。これは、ユーザーがアプリと接触するたびに、コンバージョンウィンドウを考慮せずに、再起動するタイマーに結びついたポストバックしか利用できなかった、以前のSKANバージョンと比較して改善された点です。
この変更により、キャンペーンのパフォーマンスに関するより多くの洞察を得ることができますが、ポストバックの取得にはまだ遅延があり、ポストバックが1回目、2回目または3回目のどれかによって異なります。
SKAN 4.0では、最初のコンバージョンウィンドウが終了してから、またはコンバージョンウィンドウをロックしてから(詳細は後述します)、24〜48時間後に最初のポストバックが取得できます。
残念ながら、2回目と3回目のポストバックでは、Appleはこのランダムなタイマーの長さを延ばし、コンバージョンウィンドウが終了してから24〜144時間の間にこれらのポストバックを受け取ることになります。
※画像引用元:SKAdNetwork 4.0 vs SKAdNetwork 3.0
ウィンドウのロック
この新しい手法では、実際のコンバージョンウィンドウが終了する前に、トラッキング行動を停止し、コンバージョン値を確定するオプションが提供されます。
これにより、広告主はポストバックを早期に受け取ることができますが、すぐには受け取れません。
ランダムなタイマーはコンバージョン値が確定した時点で始まり、コンバージョンがロックされてから24〜144時間後(または最初のポストバックであれば24〜48時間以内)にポストバックが受け取れることになります。ロックは任意で全てのコンバージョンウィンドウに適用可能です。
なお、ロックされたコンバージョン値を受け取った後は、そのウィンドウの残り時間の間、コンバージョン値は更新されません。
ー何が変わるのか?
SKAdNetworkは、広告主のApp Storeページに誘導するWeb広告のアトリビューション対応を開始します。なお、Web to App SKANポストバックはSafariでのみ利用可能となります。
ー何を意味するのか?
モバイルのWebページで実施されたキャンペーン(アプリ内在庫とは異なる)は、以前のバージョンではアプリ間およびアプリからWebへのキャンペーンしか追跡できませんでしたが、SKANを介してアトリビューションできます。
粗視化されたコンバージョン値とポストバックの新しいアトリビューションウィンドウの導入は、広告主がコンバージョン値のマッピング全体を見直す必要があることを意味します。
SKAdNetwork 4.0が正式にリリースされましたが、この新しいフレームワークにできるだけ早く対応することを推奨します。
JamppはATTが発表されて以来、Appleの新しいプライバシーポリシーに適応するために熱心に取り組んでおり、すでにSKAN 4.0のアップデートを最大限に活用するために必要なすべての変更をすでに行いました。
iOSキャンペーンにおけるパフォーマンスの向上を目指す方、あるいはSKANキャンペーンを次のレベルに引き上げたい方は、ぜひ弊社までお問い合わせください。