医薬品に限らず、製品の販売にあたって重視すべきなのは「戦略」です。
戦略には広告も含まれますが、医薬品の広告配信には「薬機法」と呼ばれる法律が深く関わっているため、注意すべき点があります。
また、近年の情勢に合わせたマーケティング戦略を立てることも重要です。
そこで今回は、医薬品の広告配信に深くかかわる「薬機法」について、また広告配信を実施するうえでの戦略・ポイントについてご紹介いたします。
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1.1 法律制定の目的
1.2 薬機法の対象となるもの
2.1 誇大広告の規制
2.2 特定の疾患に対する広告
2.3 未承認の医薬品に関する広告
2.4 広告とみなされる媒体例
3.1「治療」よりも「予防」にフォーカスする
3.2 慢性的な疾患に注目する
3.3 企業単位でブランディングする
5.1 特定の症状を抱えている方へ広告配信が可能
5.2 特定の疾患予備軍へのターゲティングも可能
5.3 大規模ポータルサイトなど月間2,000億を超える配信先数を保有
薬機法とは、医薬品や化粧品、医療機器などの安全性や機能、品質を保つなど、保健衛生の向上をはかるための法律です。
2014年11月の改正までは薬事法として長く親しまれていましたが、現在は薬機法と呼ばれており、正式名称は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」です。
医薬品の販売には、この薬機法が深く関わっており、それを守る必要があります。
広告を配信する際にも留意すべき点が多数あるため、まずは薬機法について詳しくご紹介いたします。
先述のように、薬機法は医薬品や医療機器の安全性の確保のほか、保健衛生の向上をはかるための法律で、制定の具体的な目的は、主に以下の項目が挙げられます。
・特定薬物の規制
・公衆衛生の保全
・保健衛生上、重大な危害を防止する
医薬品や医療機器といった医療に関わる製品は主となる効果とは別に、副作用と呼ばれる目的外の作用を体に及ぼす場合があります。
医療製品を扱う場合には、その有用性や安全性に対する正当な評価が必要です。そのような役割を担う法律として、薬機法は存在しています。
薬機法の対象となる製品は日常に関わるさまざまなものが挙げられますが、その製品群は大きく分けて以下のように分類されます。
・医薬品
・医薬部外品
・化粧品
・医療機器
・再生医療等製品
これらはいずれも医師の診断による処方や、市販後に安全対策が必要とされる製品です。
その安全対策には、副作用や不具合に関する情報の収集、そしてその情報に基づいた商品リコール、一般消費者への情報共有の実施などが含まれます。
また、種類ごとに異なる規制が設けられている製品もあり、その場合は臨床試験が必要か否か、販売に許可申請が必要かなど、細かい把握が必要です。
医薬品のマーケティングや販売戦略に携わる方々にとって気になることが、薬機法による「医薬品広告の規制」についてではないでしょうか。
薬機法では、消費者の健康を保ち安全な医薬品の使用を守るために、医薬品の広告内容について細かく規制が設けられています。そこでここからは、具体的にどのような事柄が規制対象となるのかを確認してまいりましょう。
薬機法では、医療製品の効果や製造方法、性能に関する「誇大広告」を規制しています。
この規制が定められている条文では、誇大な広告の他に「虚偽の内容」や「わいせつな表現が含まれる広告」「あたかも医師が効果を保証したような誤解を与える広告」が禁止されています。
この規制は医師や医療従事者のみならず、企業や企業が宣伝を依頼をするインフルエンサーなど、どのような方が配信する広告にも適用されます。
特定の疾病に使用される医薬品・医療機器に対する広告も規制対象です。
特定の疾病には、がんや白血病など、より高度な専門知識が必要とされる特殊疾病が含まれます。
これらの疾病への医薬品は、医師や歯科医師の管理下でないと健康に害を及ぼす可能性が非常に高いため、厳しく規制されています。
規制の一つとして、特殊疾病の医薬品は、消費者への広告掲示の禁止が挙げられます。
特殊疾病では、消費者の使用により危害を生ずるおそれが特に大きいとされるため、広告活用はできない旨を理解しておきましょう。
先述のように薬機法は「医薬品・医療機器の有用性・安全性の確保」を目的としており、製品の種類によって異なる承認基準を設けています。
そのため、この基準を満たしていない、あるいは対象となっていないために未承認の状態にある医薬品等については、広告の利用は禁止されています。
特に注意が必要なのは「健康食品」と呼ばれるものです。法律上では、健康食品は「食品」とみなされます。そのため健康食品を「医療効果が期待できるもの」として提示すると、未承認の医薬品等に関する広告として、薬機法違反に該当する可能性があるため注意しましょう。
薬機法で広告とみなされるものには、以下の媒体が挙げられます。
1. 製品の容器、包装、添付文書などの表示物
上記の通り非常に多岐に渡りますが、漏れなく把握したうえで広告制作に臨む必要があるといえるでしょう。
医薬品のマーケティング対策としては、近年の情勢に合わせた戦略の立案が必要とされます。
特に近年ではコロナウイルスの流行もあり、市場の動向がめまぐるしく変化しているため、より適切にその変化に対応できる柔軟さが求められるでしょう。
そこでここからは、医薬品のマーケティング戦略について解説いたします。
現代社会では、ウェアラブル端末に搭載される機能からもわかるように、日々の体調データの確認や保存が容易くできる仕組みが整っています。このような状況は、高齢化社会の拡大による健康管理への関心の高まりが大きく影響していると言えるでしょう。
つまり、これからはますますヘルスケア領域が重視される存在になると考えられます。
しかし消費者にとっては、体調回復のために医薬品を用いる方法とは異なり、予防という観点で、医薬品に必要性を感じないケースが多々あります。
ヘルスケア領域で成功するためには、後にご紹介するブランディングによる企業イメージの構築が必要です。ブランディングによって、消費者との信頼関係を構築しましょう。
現在、世界中で高血圧や肥満、糖尿病といった生活習慣病患者が増加しています。
加えて日本では少子高齢化の進行に伴い高齢者の割合が増加するため、それに比例して生活習慣病患者の割合もますます増加するであろうと予想されます。
また生活習慣病患者の増加とともに、その慢性化が進行すると考えられています。慢性化の進行に伴って重要視されることが、慢性疾患の患者様に対する適切な対応です。
慢性的な疾患を予防することで、増加が予想される継続的に医薬品を必要とする方を救うことに繋がります。
また、様々な製薬会社の参入も考えられるため、価格など差別化できる「強み」を持っておくようにしましょう。
医薬品、特に市販薬を直接手に取る方は消費者です。
消費者は医療の専門家ではないため、購入する市販薬の情報を提供する製薬会社との間には、信頼関係が必須だと言えます。
そのために欠かせないものが、製薬会社による企業単位でのブランディングです。
「このメーカーであれば安心」と感じてもらえるような、ブランディングを目指しましょう。
また企業への信頼とともに、製品単位で「ニーズにマッチした製品」であることを紹介することで、消費者の認知を得られやすくなるでしょう。
企業と消費者との間に接触点を持たせ、さらに信頼関係を築く方法の一例として、広告配信が挙げられます。
しかし、広告配信は薬機法に抵触してしまうと不信感を与える結果となるため、注意すべきポイントが多数存在することも事実です。
では、薬機法に違反せず効果的に広告配信をするためには、どのような点に注意すればよいのでしょうか。
薬機法に抵触しない広告配信をするためには、厚労省の留意事項に則った広告配信を行う必要があります。薬機法は、厚生労働省が管轄している法律です。
また、厚生労働省からは、広告に関する適正基準と留意事項が掲載されたガイドラインが公表されています。ガイドラインを深く理解したうえで、どのような広告が規制対象となるのか、配信を予定している広告に規制される要素がないかを細かく確認しましょう。
広告には、バナーや動画、リスティングといった様々な種類があります。その種類によってクリエイティブごとに広告内容の判断基準が異なる可能性も否めません。
例えば、映像では表現できるものでも、言語化すると薬機法に抵触する可能性があるものです。
トラブルを回避するためには、広告クリエイティブのチェックを入念に行う必要はもちろん、社内に専任チームを配置することも検討すべきでしょう。
薬機法を重点的に学んだとしても、法律の専門家でない以上、不安は拭えないものです。
不安が拭えない場合は、法律の専門家によるチェックを受けることをおすすめします。曖昧なまま広告を配信して薬機法に抵触してしまうと、思わぬ措置命令を受けてしまう可能性も否めません。そうなると広告費用も無駄になるうえ、企業の信頼問題にも影響します。
顧問弁護士や信頼できる弁護士から、適切なリーガルチェックを受けるようにしましょう。
薬機法の問題が回避できれば、広告に求められるのは「効果的な」配信です。
広告に必要な情報は、消費者が知りたい内容かつメリットがある情報です。その情報を正しく伝えられるのは、医薬品メーカーにしかできない役割と言えます。
もちろんそこには、薬機法に抵触しない正しい情報が必要です。それによって消費者との信頼関係の構築が可能になります。
どのような悩みがある方に適した医薬品なのか、どのような症状を和らげることができるのかなど、誇大表現にならない範囲で、適切に伝えるようにしましょう。
信頼関係を築き上げ、またその関係性を維持するためにも、医薬品メーカーならではの「症状に悩む消費者」に寄り添うメッセージを伝える心がけが必要です。
薬機法が適用される医薬品等においては、広告配信に際して考慮すべき事項が複数あります。特に薬機法への抵触回避は重要で、そのために頭を悩ませている方も多いでしょう。
せめて、そのほかの業務負荷を軽減できるプラットフォームがあれば、広告配信にかかる負担は軽くできるのではないでしょうか。
そこで、マイクロアドが提供する、製薬業界専用マーケティングデータプラットフォーム 「IASO(イアソ)」についてご紹介します。
マイクロアドが提供する「IASO」の最大の特長として、その高いターゲティング力が挙げられます。「IASO」では、一般的な広告プラットフォームでは難しい「特定の症状を抱えている方」にフォーカスしたターゲット設定が可能です。
皮膚の湿疹・鼻炎・花粉症などの「現在悩んでいる症状」にあわせた広告配信ができるため、必要とする方へ情報を届けることが可能です。そのため、高い費用対効果に期待できます。
指定できる症状は多岐に渡ります。身体部位やケア(予防)別に、それぞれ複数のセグメントを設けているため、選択するだけでターゲティングが可能です。また、疾患ごとに誘導しやすい訴求専用バナーにも対応しています。
「IASO」では、現在の症状に合わせたターゲティングだけではなく、「将来罹患する可能性の高い疾患」に合わせたターゲティングも可能です。
現在悩んでいる症状の組み合わせから、将来発症する可能性の高い症状を分析し、その結果によってターゲティングを行います。
例えば頭痛や鼻炎に悩む方は、風邪の予備軍として考えられます。その方々に向け、風邪の症状に悩む前の段階で「風邪薬」の広告配信が可能です。
このようにターゲティングすると、予備軍である「潜在ユーザー」に対してもアプローチが可能であり、広告のさらなるパフォーマンス向上につながります。
「IASO」は、その配信先や配信形態の多彩さも魅力の一つであり、月間2,000億を超える配信先数を誇っています。
配信先は大規模なポータルサイトから小規模なブログサイトまで、あらゆる方が訪問されるメディアを備えているため、リーチ数も圧倒的な強さです。
また、バナー広告や動画広告・ネイティブ広告など、様々な形式にも対応しています。
今回の記事では、薬機法とはどのようなものか、広告配信時に注意すべき点と併せてご紹介しました。
薬機法は医薬品を正しく安全に使用できるように制定した法律です。広告内容や医薬品の扱いにおいて、有効性や安全性を保つために細かな規制がされています。
これからの社会における医薬品販売では、薬機法への留意はもちろんのこと、効果的に広告配信できる仕組みが必要です。そのためには、薬機法の知識と医薬品に特化したプラットフォームが重要だと言えるでしょう。
マイクロアドが提供する「IASO」は、消費者が抱えている症状に合わせ、適切なターゲティングができる広告配信プラットフォームです。
身体の各部位ごとに複数の症状を指定でき、それらを組み合わせた医薬品を「本当に必要としている」消費者に対して広告配信が可能です。
また、「将来医薬品を必要とする可能性の高い」潜在ユーザーへもアプローチ可能なほか、多彩な配信先・広告形態を選択できます。考慮すべき事項の多い医薬品広告において、ターゲティングにかかる手間の軽減が可能です。
医薬品の広告配信にお悩みの方は、ぜひご検討ください。