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自治体の観光戦略を成功に導く効果測定の方法・手順と効果測定の課題

作成者: Ads Universityブログ編集部|24/05/29 8:06

自治体における観光施策は、ホテルや旅館の宿泊者数の増加だけでなく関連施設の収益拡大を図るうえでも重要です。自治体はイベント開催・旅行博への参加やWeb広告などに費用を投じて、幅広く観光施策を展開しています。その際、施策が実際にどの程度効果があったのか、効果測定が不可欠です。

 

本記事では、自治体がおこなう観光施策の目的や内容に加えて、観光施策の効果測定で活用するデータや測定方法や手順について解説します。

 

なお近年、観光施策の中でもWebを活用した観光マーケティングが盛んですが、Cookie規制によって効果測定にも影響が及んでいます。記事の後半では、Cookieレスに対応した自治体向けマーケティングプロダクト「まちあげ」をご紹介します。

 

観光施策の効果測定でお悩みの自治体や代理店のご担当者は、ぜひ最後までご覧ください。

 

目次を表示

  1.  自治体における観光施策と効果測定の必要性
     1.1 効果測定が必要な理由
     1.2 観光施策と効果測定の関連性

  2.  自治体等がおこなう観光施策
     2.1 旅行会社の招へいおよび海外視察・商談
     2.2 トラベルマートや旅行博・イベントへの出展
     2.3 純広告・オンライン広告
     2.4 メディアやインフルエンサーの招へい
     2.5 旅行情報の掲載

  3.  自治体の観光施策の効果測定で活用するデータ
     3.1 商談数や造成ツアー本数
     3.2 広告掲載費用や表示回数
     3.3 旅行情報の投稿回数や閲覧数
     3.4 人流・モバイル空間統計
     3.5 都道府県の宿泊統計

  4.  自治体の観光施策における効果測定の方法と手順
     4.1 目標設定
     4.2 ターゲットに合わせた施策立案
     4.3 プロモーション内容の選定
     4.4 施策の実現に必要な人員や体制を整える
     4.5 施策終了後の効果測定

  5.  観光施策の効果測定における課題
     5.1 人手が不足している
     5.2 分析の知識不足によりデータ収集が難しい
     5.3 Cookie規制による影響

  6.  自治体の観光施策から効果測定までおこなえる「まちあげ」とは
     6.1 マーケティングデータプラットフォーム「UNIVERSE」のデータを活用
     6.2 Cookieに依存しないIDソリューションとの連携

  7.  まとめ


1.自治体における観光施策と効果測定の必要性

 

 

自治体では、地域活性化や関係人口・交流人口を増やすために様々な観光施策を実施しています。観光施策を推進して効果を高めるには、PDCAサイクルをまわすことを意識する必要があります。

PDCAとは、計画の実行から改善までを繰り返しおこなうためのフレームワークです。Pは計画(Plan)、D(Do)は実行、C(Check)は評価、A(Action)は改善を表します。観光施策を計画・実行したあと、成果が出たのか改善の余地がなかったのかを確認する際に役立つフレームワークです。PDCAを繰り返すことで、観光施策の精度を高められるでしょう。



1.1 効果測定が必要な理由


観光施策によって誘客を促進するにはプロモーションが欠かせません。販促(予約・購買)を目的としたプロモーションにおいて、通常は閲覧数(PV数)などで効果を測定する場合が多いでしょう。


自治体の観光施策の場合、閲覧数が多くても実際に地域に訪れた方が少なければ効果が出ているとは言い難いです。PV数の増加以外にも様々な指標やツールを活用して、効果測定をおこなわなければなりません。



1.2 観光施策と効果測定の関連性


上述のように観光施策のプロモーションは、PV数の増加のような一つの指標だけでは成功と失敗の判断がしづらい傾向があります。PDCAを回して、 「Check(評価)」の段階から逐一効果を測定する必要があります。


例えば、Web広告の掲載でチェックすべき評価項目は広告の表示回数やクリック数です。トラベルマートへの出席の場合は、商談をおこなった企業の件数や参加人数が該当します。結果を踏まえて「Action(改善)」の段階で観光施策の継続や改善を判断し、施策の実効性を高めるのが堅実的な手法です。

 


2.自治体等がおこなう観光施策

 

 

自治体に加えて、観光協会やDMOなど各種協会・法人が観光施策に取り組んでいます。それぞれが、国内外の個人旅行から団体旅行まで幅広い層の取り込みを目指しています。


その際、海外の団体ツアー招へいを目的とした施策と海外個人旅行(FIT)の獲得を図る施策では、集客手法が大きく異なるでしょう。


集客手法の違いによって効果測定の方法も変化します。純広告・オンライン広告やSNS・Webメディアに旅行情報を掲載する際は、アクセス数や広告のインプレッション数などのデータが重要です。


認知度の拡大を目的とした​効果測定で必要な指標は、インプレッション数・インプレッション単価・リーチなどです。管理画面よりこれらの数値を算出すると効果測定ができます。


自社サイトなどへの誘導を目的としたオンライン広告の場合は、広告のクリック数やクリック率・クリック単価を確認しましょう。クリック率は、クリック数をインプレッション数で割り算すると算出できます。クリック率が低い場合は改善が必要です。


Webメディア以外での旅行情報の掲載に関する効果測定は、掲載費用や発行部数・投稿回数などが指標になります。情報が掲載された媒体がユーザーにどれだけ接触したのか、接触者数を基に効果を測定しましょう。



2.1 旅行会社の招へいおよび海外視察・商談


国内・海外の旅行会社にツアーの造成を促して、地域への訪問者増加を目指すのは観光施策の一環として重要な取り組みです。自治体は国内外の旅行会社の招へいや、域内の旅行会社を集めての海外視察などの活動をおこなっています。


国内外の旅行会社が造成するツアーに、自地域を含めてもらうためにもこれらの活動は不可欠です。



2.2 トラベルマートや旅行博・イベントへの出展


トラベルマートとは、海外の訪日旅行取扱旅行会社と国内観光関係企業との間でおこなわれる大規模な商談会です。訪日ツアーの造成と訪日外国人旅行の拡大を図るために実施されます。自治体が主催して国内や海外の旅行会社を招待するケースもあります。


2022年に埼玉県が「SAITAMAトラベルマートオンライン」を開設しました。観光スポットや宿泊施設の概要ならびに特典などを集約して、旅行会社との商談の促進を図る取り組みです。


2024年9月には、日本政府観光局が主催するトラベルマート「VISIT JAPAN トラベル&MICE マート 2024」の開催も決定しています。



2.3 純広告・オンライン広告


純広告やオンライン広告を掲載する目的は、主に国内の観光地や観光施設の広告・宣伝です。各地域の認知度の向上とブランディングを図る手法の一つです。掲載先は、Google等の検索エンジンに掲載するリスティングやディスプレイといったWeb広告に加えて、SNSプラットフォームに配信する広告など多岐にわたります。



2.4 メディアやインフルエンサーの招へい


観光施策には、海外のメディア関係者やインフルエンサーを国内に招へいする事業も含まれます。招へいされたメディア関係者やインフルエンサーがそれぞれの国でおこなう報道・情報発信によって、海外への認知度の向上が期待できるでしょう。


インフルエンサーやメディア関係者に地域の観光地を視察してもらい、認知度の向上やイメージアップにつながるように、テレビ番組や記事の制作を要請します。



2.5 旅行情報の掲載


地域の観光資源を活用して観光施策を成功に導くには、観光・旅行情報を幅広い層に届けなければなりません。


旅行情報の掲載先は、旅行情報を提供しているポータルサイトやSNS・印刷物などが挙げられます。また、オンラインやオフラインイベントへの出展・参加も地域の情報を多くの方に届けるために役立つでしょう。

 


3.自治体の観光施策の効果測定で活用するデータ

 

 

自治体の観光施策において、効果が出ているのかを検証・判断するためにはデータを活用した効果測定が重要です。ここからは、観光施策の効果測定で必要なデータの種類や分析方法・指標について解説します。



3.1 商談数や造成ツアー本数


自治体は商談をおこなったり地域を訪れてもらえるようなツアー造成を促したりするために、海外視察や旅行博に参加します。


トラベルマートへの参加も含めて効果測定で使用できるデータは、商談数や造成ツアーの本数が該当します。旅行会社の招へいであれば、招へいした人数・商談の成立件数・造成されたツアー本数などを把握することで効果測定が可能です。



3.2 広告掲載費用や表示回数


WebやSNSで広告掲載をおこなった際の効果測定に活用できるデータは、広告により様々な種類があります。


認知度拡大を目指して掲載するディスプレイ広告では、インプレッション数の把握が不可欠です。インプレッション数とは、ユーザーに広告が表示された回数です。


集客を増やすために掲載するリスティング広告では、クリック数やコンバージョン数などが重要になります。広告をクリックしたユーザーが、そこから実際にどれだけ問合せや商品購入などの具体的な行動を起こしたかを把握するのがコンバージョン数です。



3.3 旅行情報の投稿回数や閲覧数


WebやSNSのほか、書籍・雑誌などの印刷物に旅行情報を掲載するのも観光施策の手法の一つです。様々な媒体への情報掲載によって、地域の認知度やブランディングの向上が期待できます。


旅行情報の掲載に関する効果測定は、掲載先によって使用するデータが異なります。

例えば、WebページやWebメディアであれば新規で制作し公開したコンテンツ数・更新回数・掲載媒体数などが重要なデータです。SNSのプラットフォームに掲載した場合は、投稿回数やエンゲージメント数が該当します。



3.4 人流・モバイル空間統計


様々な観光施策を実施した結果、地域にどれくらいの人数が来訪したのかをデータで把握するのも効果測定の手法の一つです。


ドコモ社の携帯ネットワークを使用した「モバイル空間統計」という人口統計情報サービスがあります。各基地局に存在する携帯電話の台数とドコモ社の携帯普及率を加味して、人口を推計します。エリアの分布や時間ごとの人の動きの推移がわかるサービスです。


観光施策を実施した結果、地域にどれだけの来訪者があったのかを把握できるので、効果測定の手法としても有効です。



3.5 都道府県の宿泊統計


観光庁は、ホームページに各都道府県の宿泊統計を掲載しています。宿泊統計の内容は、国内・海外それぞれの延べ実宿泊者数に加えて、居住地別内訳・外国人延べ宿泊者数の国籍別内訳などです。各地域の宿泊統計データを確認すると、前年と比較した宿泊人員の増減などが把握できます。

 

 

4.自治体の観光施策における効果測定の方法と手順

 

 

自治体の観光施策における効果測定を適切におこなうには、目標設定から始まる施策の流れをきちんと把握しなければなりません。本章では、観光施策の効果測定の方法と手順を解説します。



4.1 目標設定


まず、観光施策をおこなう目的を定めます。次に、達成したい目標を設定し、達成するための効果測定の指標を事前に選定しましょう。旅行会社を招へいするのであれば、何社に参加してもらうのかを予め数値化しておきましょう。



4.2 ターゲットに合わせた施策立案


個人をターゲットにした観光施策と旅行会社などの企業に向けた施策では、取り組む内容やアプローチが異なるでしょう。ターゲットごとに適切な施策の立案と遂行が求められます。



4.3 プロモーション内容の選定


観光施策の目的によって、効果の期待できるプロモーション手法は異なります。

個人客に地域の魅力を伝えたい場合、Web広告やSNS広告で幅広く情報を届けるのが適しています。海外からの集客を増やしたい場合は、旅行会社の招へいやトラベルマートに参加してツアーの造成を促す方法が効果的です。


プロモーションの効果を高めるために、適切なプロモーション手法を選択しなければなりません。



4.4 施策の実現に必要な人員や体制を整える


観光施策を実現するには、適切な人員配置と体制の整備が不可欠です。例えば、旅行会社・観光協会をターゲットにトラベルマートや旅行博などのイベントに出席する際は、イベント参加の手続きや交通手段の手配ならびに確保などの業務が発生します。



4.5 施策終了後の効果測定


施策を実行したあとは、事前に選定した指標で効果測定をおこないましょう。効果測定を正しくおこなうことで、それぞれの施策に効果があったのかを検証・判断できます。成果が見られない施策は改善を加えたり、別の施策を立案したりしましょう。

 


5. 観光施策の効果測定における課題

 

 

自治体がおこなう観光施策には様々な種類があり、効果測定の手法も多岐にわたります。本章では、効果測定するうえでの課題について解説します。



5.1 人手が不足している


各自治体で、少子高齢化にともなう労働人口の減少が進んでいます。その結果、観光施策に従事する職員数も減少傾向が続くと予想されます。人手のかかる観光施策を実施したくても、人手不足で対応できないケースも増えてきました。



5.2 分析の知識不足によりデータ収集が難しい


観光施策の効果測定の中には、アクセス解析やオンライン・SNSなどの広告分析といった効果測定対象領域が広く、幅広い知識が求められるものがあります。人手不足に加えて、専門的な分析スキルを持っている担当者が少ない、もしくは不在の自治体も多いでしょう。


複数の媒体を横断した広告配信やアクセス数を解析するGA4やサーチコンソールなどの分析スキルを有する自治体職員は限られています。多くの自治体において、データ収集は大きな課題といえるでしょう。



5.3 Cookie規制による影響


CookieにはWeb上の行動履歴が含まれているため、趣味・嗜好の傾向を把握できます。

個人を特定するような情報は含まれないものの、昨今のプライバシー保護の観点から、Google社は3rd Party Cookieの廃止を発表しました。また、既にApple社のWebブラウザ「Safari」では、2020年3月以降3rd party Cookieが全面的にブロックされています。


これらのCookie規制による影響で、ユーザーが広告を閲覧した後の行動情報の取得が制限されます。それゆえ、従来のCookieを活用した広告の効果測定が難しくなっており、代替手段の検討・導入が急務です。



6.自治体の観光施策から効果測定までおこなえる「まちあげ」とは



 

自治体が実施した観光施策の効果測定をおこなうには、様々なデータが必要です。

「まちあげ」では、観光に関連したゆかりターゲティングや興味・関心のあるユーザーに絞った広告配信が可能です。加えて、自治体で実施した施策の効果測定に役立つデータ計測をおこなえるのが特徴です。


6.1 マーケティングデータプラットフォーム「UNIVERSE」のデータを活用


「まちあげ」の広告配信では、提携する約210の企業から消費者のオンライン・オフラインの膨大な消費行動データを集約したデータプラットフォーム「UNIVERSE」のデータを活用できます。

Web上の行動データ・位置情報データなどを分析し、自治体の実施する各種施策に対してより親和性の高い層を捉えられるのがメリットです。

広告配信の前後を比較し効果計測を行うことで、今後のプロモーションに活かすことが可能です。広告接触者の関心が高かった地域を都道府県別に分析します。加えて、Web上の行動履歴をもとに、ユーザーの興味関心傾向、比較検討地域や目的、来県計測などを可視化したレポートを提供します。

また、訴求するプロモーションに対して、ユーザーの興味関心度が高まったかなどの意識変化をアンケート調査することも可能です。


6.2 Cookieに依存しないIDソリューションとの連携


上述の「UNIVERSE」は、3rd Party Cookieに依存しない「RampID」と呼ばれるIDソリューションと連携しています。したがって、「まちあげ」はCookieレスに対応した広告の効果測定が可能です。Cookieレスに対応した「まちあげ」を活用すると、効果測定の精度も高められるでしょう。

 


7.まとめ

 

本記事では、自治体がおこなう観光施策の目的・内容や観光施策を効果的に実施する方法と手順に加えて、観光施策の効果測定における課題について解説しました。

 

自治体の観光施策を成功に導くには、地域に興味・関心のあるターゲットに効果的なアプローチをおこなわなければなりません。そのためには、様々な指標やツールを活用した効果測定が不可欠です。

 

なお、従来のCookieを活用したユーザーの興味・関心のある内容を基におこなう自治体のWebプロモーションは、分析に必要なデータの取得が制限されています。それゆえ、効果測定も難しくなっており、Cookieを使用しない代替手段の検討と導入が急務です。

 

観光施策の効果測定にお悩みのご担当者は、Cookieレスに対応した広告配信が可能でデータ分析も迅速におこなえる「まちあげ」の導入を、ぜひご検討ください。