地域経済や地域住民の活動を活発化させるためには、自治体としてはいかに多くの方に観光で訪問してもらえるか、移住先として選んでもらえるかが重要です。
また、地域外の方々だけでなく地域住民に対しても適切な情報を提供しなければなりません。
自治体はただ情報を提供するだけでなく、戦略を持って広報活動をしなければ、成果を上げることは難しいでしょう。
では、具体的にどのようにして広報戦略を練って実践していけばよいのでしょうか。
この記事では、自治体の広報戦略の重要性や実践方法、そして実例などを解説します。
また、自治体の広報において移住や観光、企業誘致を目指した訴求にはWebプロモーションが効果的です。
自治体のWebプロモーションを支援するプラットホームとして、「まちあげ」をご紹介します。
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広報とは、組織の活動報告や方針発表などの情報発信に関連する戦略立案や、その実行を指す言葉です。広報は社会の人々の認知を高め、信頼関係を築くための活動として、近年、企業や自治体にとって不可欠なものになっています。「広報戦略」という言葉も使われるようになりました。
この記事では、自治体における広報活動について解説します。
自治体は、教育や福祉、観光など多くの分野に対応する必要があります。
ただし、積極的に各種施策に取り組んでいても、それを地域住民や地域外の方々に理解されていなければ意味がありません。
そこで、各種取り組みを紹介・周知する手段として広報が用いられます。
自治体がどんなに優れたまちづくりをおこなっていても、その成果や取り組みが地域住民に伝わっていなければ、その効果は限定的です。
地域住民がまちづくりの意義や価値を理解し、参加意欲を高めることができれば、より効果的なまちづくりが実現できるでしょう。
したがって、広報はまちづくりに欠かせないといえるでしょう。
また、自治体における広報は、単にまちづくりだけでなく、地域ブランディングや地域活性化にもつながる効果が期待できます。
自治体における広報活動としては、主に以下のような手段があります。
広報誌は、自治体がおこなっている各種施策について、情報を提供するための紙媒体です。自治体は、広報誌を通じて正確かつ適切な情報を伝えることが重要です。
ここでいう情報とは、以下のようなものを指します。
また、広報誌には自治体の魅力を伝える効果も期待できます。さらに、広報誌を通じて企業や団体とステークホルダー間の交流を促進することも可能です。
従来から活用されていた広報誌以外にも、最近ではホームページによる広報も一般的になりました。
広報誌の場合、基本的に地域住民に対しての情報提供に限定されます。
ホームページの場合はインターネット接続が可能なデバイスであれば、全国各地からアクセスして情報を入手できます。
また、ホームページの場合はリアルタイムな情報を提供できる点もメリットです。
常に最新の情報がアップデートされている自治体のホームページは、信頼性が高まりより多くの方が利用することが期待できます。
インターネットの普及にともない、徐々に影響力が下がりつつあるものの、まだまだテレビやラジオの持つ影響力は無視できません。
テレビやラジオの場合、映像や音声によって情報をより鮮明に伝え、視聴者や聴取者の関心を引きやすくなるメリットがあります。
自治体の広報においても、SNS(ソーシャルメディア)は非常に重要な存在になっています。特にTwitterは、リアルタイムに情報を発信できる特性を持っており、広報活動に活用されることが多いツールです。
SNSは、相互のコミュニケーション性も高く、地域住民との交流を促進する効果もあります。また、SNSの情報は拡散されやすく、地域内外の多くの方々にリーチすることができるのも特徴です。
SNSが普及する以前から、メールマガジンは広報手段として用いられてきました。メールマガジンによる広報は、以下のような情報を提供する場合が多くあります。
メールマガジンは、個々のメールアドレスにダイレクトに送信する点が特徴です。また、メールの特性上、速報性が高く配信できるメリットもあります。
最近では、テレビやラジオではなく動画配信で広報活動をおこなうケースも増えています。
特に、スマートフォンが普及している昨今、動画配信は手軽に多くの視聴者を獲得できるチャンスがあるとされています。
また、地域の魅力をを伝えるためには、自治体にゆかりのあるタレントや有名人などを起用することも効果的です。
その存在や知名度を活用することで、広報の注目度を高めることができます。地域に愛着を持つ方々やファンが動画を視聴することによって、自治体の魅力や活動に対する関心を高めることが期待されます。
自治体が効果的な広報活動をおこなうためには、適切な戦略が必要です。主に以下のような広報戦略が求められています。
自治体の広報では、いかに住民が求める情報をスムーズに提供できるかが重要です。
住民が特に関心を持っているのは健康・福祉・医療介護・防犯・防災などの情報です。
これらの情報を迅速かつ正確に伝える必要があります。よって、広報戦略としては正しい情報を提供するだけでなく、効果的な情報提供の方法を検討しなければなりません。
自治体の広報活動は、地域住民だけでなく、地域外の方々や企業の興味関心を引くような情報を提供できるかがポイントとなります。
地域の魅力を最大限にアピールし、移住や企業誘致の促進を図るためには、広報活動が重要な役割を果たします。地域の魅力や、医療や福祉・教育の充実度などを広報によって上手くアピールすることが重要だといえるでしょう。
ステークホルダーとは、日本語では利害関係者を指します。
自治体にとってのステークホルダーとは、地域住民や地域外の方々、企業などが該当します。
広報活動を通じてステークホルダー同士をつなぎ、より多角的な取り組みを実施することが可能です。
自治体の広報活動において発生しがちな問題点として、以下が挙げられます。
自治体の広報活動において、ただ一方的に情報を発信するだけでは、期待する成果を得ることは難しいでしょう。広報の目的や効果を明確にする必要があります。
それゆえ、目標設定は広報活動の基盤となる非常に重要な要素といえます。
しかし、実際には自治体の広報活動では目標が不明確な場合が多いのが現状です。
目標が不明確な場合、広報活動の方向性が定まらず、結果として期待した成果を得ることが難しくなります。
自治体の広報活動において、住民が求める情報を、いかにタイムリーかつ適切に提供できるかが重要です。
住民のニーズや関心事などの情報収集が適切にできていない場合、効果的な広報活動を展開することは難しいでしょう。
定期的な対話やアンケート調査やイベント等での、住民や地域外の方々とのコミュニケーションを通じて、情報を上手く収集できるかがポイントとなります。
自治体広報において、ステークホルダー(利害関係者)のニーズや関心事をいかに把握し、それに基づいて情報を展開することが重要です。
興味を引く情報を提供するためには、ターゲットの属性や特徴を考慮しなければなりません。
例えば、年齢や性別を層別化して、それぞれのターゲットに適した情報を提供することで、より効果的な広報が可能になります。
自治体の広報活動の問題点として、属性を考慮せず、ステークホルダーのニーズに合致しない情報を展開しているケースが散見されます。
広報活動では、地域外の方々に対しても自治体の魅力をアピールすることが大切です。
しかし、実際には自治体が自身の魅力を十分にアピールできていないケースが多く見受けられます。
これは、自治体が広報部門に対して適切なリソース(予算、人材、時間など)を割けていないことが原因として挙げられます。
広報に対する自治体のリソースが限られている関係上、広報活動がどうしても同一メディアに偏ってしまう傾向があります。
例えば、広報誌の制作に長けた担当者が、必ずしもSNSを活用した広報が得意とは限りません。
1つのメディアに偏った広報活動は、情報が特定の層にしか届かないという問題が生じます。その結果、効果的な広報がおこなわれず、情報が行き届かない層が発生してしまう可能性があります。
自治体の広報活動における問題点が理解できたところで、戦略を練って広報活動に取り組む必要があります。そこで、自治体が広報戦略を策定する際は、以下のポイントを押さえるようにしましょう。
自治体の広報戦略を策定する際には、まず目標や計画を明確にすることから始めましょう。また、目標や計画を立てるうえでターゲットを明確にすることも重要です。
ターゲットに対してどのような目標を持って広報活動をおこなうのかを検討し、目標を達成するための具体的な手段やスケジュールを策定しましょう。
地域住民に対して効果的な広報をおこなうには、住民のニーズや要望を適切に汲み上げる必要があります。
従来の広報活動では、どうしても一方通行の情報提供になってしまい、住民の意見やフィードバックを得ることができませんでした。
現在は、SNSやホームページを活用することで、住民との双方向のコミュニケーションが可能になりました。これにより、住民から意見や要望を聴取したり、モニター制度などを活用して直接的なフィードバックを得ることができます。
広報戦略を立てる際には、地域住民の意見だけでなく、地域外の声も積極的に取り入れることも重要です。地域内に閉じた視点になってしまうと、限定的な視野での広報活動になってしまいがちです。外部からの意見を取り入れることで、より幅広いニーズに対応した広報を提供できるようになります。
住民が普段利用するメディアは年齢層によって異なる傾向があります。例えば、高齢者の場合は広報誌やテレビ・ラジオが主な情報源です。一方、若年層はSNSやデジタルメディアを頻繁に利用します。
自治体の広報活動は、ターゲットとなる年齢層や目的に合わせておこなわれるべきです。もし、高齢者向けの情報を提供したい場合にSNSを利用しても、効果的に情報が伝わるとは言いがたいです。
広報活動の成功には、目的とマッチしたメディアを活用できるかがカギだといえるでしょう。
地域住民にとっては当たり前なことでも、地域外の方々にとってはユニークに映ることがあります。地域のユニークな要素や魅力を活かした広報活動を実践することで、地域外の方々の興味や関心を引くことができるでしょう。
観光客や専門家などの外部の意見も広く取り入れることも効果的です。
地域外の意見や視点を取り入れることで、広報活動の質の向上が期待できます。
広報活動の効果を定量的に評価することは非常に重要です。単に情報を提供するだけではなく、広報活動が目標や目的を達成しているのかどうかを自治体は把握する必要があります。
そこで、広報の効果測定をおこなって、その成果や効果を客観的に評価することが求められます。もし効果が見られない場合は、改善すべき点を特定し、改善策を実施しましょう。
自治体の広報活動は、地域内外やステークホルダーのニーズに応じた、時代の流れに沿った戦略が必要となります。
ここでは、これからの時代に求められる自治体の広報戦略について、3つの方向性をご紹介します。
自治体の広報活動では、地域住民のニーズにマッチした情報提供が重要です。
そこで、広報に住民目線を取り入れることで、一方的な情報発信ではなく住民の興味や関心を引く広報活動を実践できます。
特に、自然災害や犯罪などが発生した場合、その地域の住民は迅速かつ正確な情報を求める傾向があります。速報性の高い情報を広報活動を通じて適切に伝達することが大切だといえるでしょう。
自治体が観光客や移住者を誘致するためには、ほかの地域との差別化が求められます。ほかの自治体との差別化を図るためには、地域ブランド化を意識する必要があります。
従来の地域ブランドは、特定の名産品や観光名所ばかりに注目が集まっていました。
これからの時代においては、地域の独自性や魅力を反映させた地域ブランドを確立し、広報によって地域外に効果的にアピールできるかが重要だといえます。
特に移住や観光、企業誘致を目的とした広報活動として、Webプロモーションが効果的です。広報誌だけでなく、Webやデジタルツールを活用することで、より多くの方々に情報を届けることが可能です。
最近では、InstagramなどのSNSが、幅広い層にアピールできるツールとなっています。Webやデジタルツールを有効活用して、より効果的な広報活動を実践しましょう。
自治体において、実際に適切な広報活動によって成果を上げているケースが多くあります。ここでは、主な成功例について紹介します。
茨城県は、県独自のインターネット動画サイトである「いばキラTV」を運営しています。2016年1月にはYouTubeの動画掲載本数・総再生回数・チャンネル登録者数の3分野で日本一を達成しています。
茨城県は、47都道府県で唯一地上波テレビ局が存在していません。そのような状況において、東日本大震災などの非常時に茨城県内の映像が不足しているという問題点がありました。
そこで、2012年に誕生したのが「いばキラTV」です。開設初年度から「ガールズアンドパンツァー」とのコラボレーションを積極的に展開し、多くの注目を集めました。
日本で一番視聴されている自治体動画サイトとして、確固たる地位を確立しています。
千葉県流山市では、つくばエクスプレスの開通により都心からのアクセスが改善されたことを活かし、共働きの子育て世代への積極的なアプローチを図ってきました。
その一環として、「母になるなら、流山市。」や「父になるなら、流山市。」のプロモーションコピーを定め、日本で初めてマーケティング課を設立して様々な活動を展開しています。
最初は、数を打てば当たるという考えで活動していましたが、成果を上げることができませんでした。そこで、メディア毎にプレスリリースのタイトルやリード文を微妙に変化させたり、メディアに合わせて編集を変更したりするなど広報展開に工夫を凝らしました。
このような広報PRの努力の甲斐あって、この10年で人口が約4.2万人増という結果を達成できたのです。
宮城県では、農林水産部が「ぷれ宮夢みやぎ」というサイトを開設しています。「ぷれ宮夢みやぎ」では、宮城県に豊富に存在するブランド食材の販売を手がけています。
それまでは、点在していた食の情報を「ぷれ宮夢みやぎ」にまとめることにより、産地や生産者の思いなどをSNSを活用し多くの方々に展開できるようになりました。
神奈川県川崎市では、ラジオを活用した広報活動をおこなっており、成功を収めています。従来から、川崎市内の最新情報やイベントなどの紹介を目的としたラジオ番組を、週1回毎週末の夕方に放送しています。
この番組では、ゲストとのトークや現地リポートをおこなう「かわさきマッチングタイム」や、音楽とともに最新情報を提供する「KAWASAKI Sparkling」などのコーナーが人気です。
これにより、より地域住民とのコミュニケーションを深めながら、親しみやすい広報活動を展開しています。
福岡県福岡市では、早い段階でLINE公式アカウントを開設。自治体と住民のコミュニケーション課題をLINEを活用して解決する「GovTechプログラム」を導入しました。
広報課が日々配信内容をパトロールして、チェックと改善をおこなうことで質の高い情報を提供しており、住民に広く利用されています。結果的に、自治体のLINE公式アカウントの中では、友だち登録者数が最多となっています。
前述のとおり、自治体における移住や観光、企業誘致を目指した訴求にはWebプロモーションが効果的です。そこで、自治体のWebプロモーションで使用するツールとして、特におすすめしたいのが「まちあげ」です。
広告を通じて、全国に魅力を発信できるサービスとして多くの自治体で活用されています。ここでは、「まちあげ」の詳細について解説します。
「まちあげ」は、自治体のWebプロモーションを支援する広告配信プラットフォームです。
自治体が取り組んでいる各事業などに興味関心を持つユーザーに対して、効果的な広告を配信できる仕組みとなっています。
実際に「まちあげ」を利用した自治体の9割以上が、KPIを達成した実績があります。
「まちあげ」は、マイクロアドのデータプラットフォーム「UNIVERSE」が保有するWeb上の行動履歴や位置情報データを分析し、より親和性の高い層を捉えることで、最適化された広告配信を行うサービスです。
「UNIVERSE」の豊富なデータを活用することで、固有のターゲティングを作成して広告配信が可能となる点が、「まちあげ」を利用するメリットです。
また、「まちあげ」には配信結果を分析する機能があり、自治体が求めるデータをレポート形式でまとめることができます。
自治体の広報活動は地域内外の住民や企業などに対して、いかに魅力をアピールできるかが重要です。ただ、一方的に情報を発信しても効果的ではありません。
しっかりと広報戦略を持って目的と計画を明確にしたうえで、戦略的な広報活動を実施する必要があります。
自治体広報のご担当者は、この記事で紹介した広報の成功例を参考にしながら、Webやデジタルツールも有効活用して、より効果的な広報活動を実践しましょう。