国全体ではなく、一定の範囲を対象として情報を発信する媒体を「地域メディア」と呼びます。
自治体が地域活性化を図る手段として、地域メディアの活用は有効です。
地域メディアの活用によって、地域住民が必要とする情報の提供や、地域住民への行動促進が期待できます。
この記事では、地域メディアにおける、役割や課題、自治体が活用する際のポイントと成功事例について詳しく解説します。
自治体のPR・広告に活用できる広告配信サービス「まちあげ」についてもご紹介しますので、自治体の職員の方は参考にしてください。
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地域メディアとは、国全体ではなく、一定の範囲を対象として情報を発信しているテレビ・ラジオ・フリーペーパーやWebサイトなどの媒体です。
ローカルメディアとも呼ばれ、近年このようなローカル情報の発信に特化したメディアが次々に誕生し、注目を集めています。
地域メディアの対象エリアは、都道府県や市区町村などの広義な範囲から小学校の学区やマンションの団地など狭義な範囲まで様々です。
また、一定の範囲の地域を対象としているメディアであれば、Web媒体や紙媒体、音声媒体など問わず地域メディアと呼ばれています。
地域メディアについて理解を深めるためには、どのような媒体があるかを把握する必要があります。地域メディアと呼ばれるのは、主に以下の4種類です。
それぞれについて解説します。
CATVとは、大型アンテナのある受信設備で放送を受信して、ケーブルを介して地域住民の自宅へテレビ番組を配信する媒体です。
CATVでは、特定の地域の住民に対して市区町村の行政情報や警察署からのお知らせ、天気予報などを情報発信することができます。
ただし、CATVを利用する際は、毎月定額の視聴料金が発生します。そのため、地域の情報に関心が薄い方へは情報が伝達しづらくなるかもしれません。また、CATVで情報を受信するには、ケーブルを自宅に引き込む必要があります。
地域住民の立地や環境によっては、ケーブルを引き込むことができない場合や、工事費用が発生する可能性があります。
コミュニティFMとは、FM放送の周波数を利用したラジオ放送です。放送エリアが市区町村に限定されています。
災害時に避難所の情報・被災者の安否確認やスマートフォンの充電場所などの細かな情報を伝えることができるのが特徴です。
また、コミュニティFMでは、地域の特色を活用した市民参加型の番組や地域情報の発信がおこなわれます。災害時にテレビやスマートフォンが利用できない状況下でも情報伝達が可能な媒体として重宝されます。
フリーペーパーとは、地域に密接した情報や生活に関連する情報を記事と広告で伝える無料の紙媒体です。
例えば、地域内の店舗の広告や、地域の方々へのインタビュー記事などが掲載されています。ポスティングや新聞折込もしくは店頭に設置して配布され、幅広い年齢層の地域住民に情報を伝えることができます。
Webサイトを地域メディアとして活用すれば、地域住民以外の方々に対しても情報発信ができるため、観光客の誘致や移住者の増加につなげられる可能性があります。
これらの地域メディアには、全国に向けて発信するメディアとは異なる意義と役割があります。その意義と役割は、主に以下の3つです。
それぞれについて解説します。
地域メディアは、地域住民が必要とする情報を細かく発信する役割を果たします。
例えば、地域メディアが天気や交通事故情報を発信すると、住民は傘を持ち歩いたり、交通安全に細心の注意を払うなど、対策を講じることができます。
ほかにも、地域特有の子育て支援や介護サポートサービスなどの情報発信をおこなうことで、地域住民はより充実したサービスを受けることができるでしょう。
地域メディアは、地域の施設情報や文化情報などを発信することによって、住民同士がつながりを作るきっかけとなります。
地域メディアによって、例えば「新しいカフェがオープンした」「この前、地域内でドラマの撮影があった」といった地域に関する情報を迅速に入手できます。これにより、地域の住民同士がより親密な関係を築く手助けとなるでしょう。
地域メディアには、税や手続きの情報、就職支援情報などを発信することによって住民に行動を促す役割があります。
例えば、地域メディアの活用により、行政は選挙への参加を促す情報を提供したり、犯罪情報を共有して防犯意識の向上を図ることができるでしょう。また、その地域の企業は自社の商品やサービスを紹介し、地域の商業活性化に寄与することができます。
各地に様々な地域メディアが存在しますが、その課題として挙げられるのは大きく以下の2点です。
それぞれの課題について解説します。
地域メディアは比較的小規模な地域の住民を対象に情報を提供する媒体です。
地域住民に向けて情報発信をおこなう際に、県全域の情報が載っていたりすると、生活範囲の情報が埋もれてしまう可能性があります。
また、逆に特定のジャンルに限定した情報を発信しても、地域住民のニーズや興味関心とマッチするとは言い難いでしょう。
地域メディアを活用する際は、情報を届けるターゲットの年齢層・性別や地域の特性などの属性に沿った情報提供を心がけましょう。
地域メディアの課題として、発信すべき情報を適切に収集することが困難な傾向があります。対象エリアが限定されているため、注目を集めるような情報を発信することが難しいケースもあるでしょう。
しかし、必要最低限の情報である地域の天気や防犯情報などを提供するだけでも、地域住民にとっては十分に役に立ちます。
地域住民のニーズに合った情報収集と、積極的な情報発信をおこなうことで、地域メディアの役割を最大限に活かすことができます。
自治体は地域住民に対して、教育・福祉・行政サービス等の取り組みについての情報を提供する責任があります。
そのためにも、自治体にとって地域メディアとの連携や有効活用は不可欠だといえるでしょう。
自治体が地域メディアを活用する際には、主に以下の2つのポイントを押さえる必要があります。
それぞれのポイントについて解説します。
自治体が地域メディアを活用する際は、目的に応じて適切な媒体を選択することが重要です。
例えば、地域への移住者や観光客の誘致を目的とする場合、インターネットを通じて ”地域外” の方々に情報伝達が可能なWebメディアを選ぶのが望ましいでしょう。
また、地域によっては、複数の地域メディアが情報発信をおこなっていることがあります。その場合は、1つの媒体に絞らず、目的に沿って複数の媒体を活用することで、より多くの方々に適切な情報を提供できるでしょう。
自治体が地域メディアを活用する際は、ターゲットとなる地域住民の特性を考慮する必要があります。
例えば、地域住民の大部分が65歳以上の高齢者である場合、Webメディアよりも紙媒体やラジオなど、情報を受け取りやすい媒体を選ぶ方が効果的です。
地域住民の特性に合わせた媒体を選択することで、地域住民の関心やニーズに合った効果的な情報伝達が可能になります。
地域メディアの活用を検討している自治体のご担当者は、ほかの自治体の地域メディア活用の成功事例を参考にしましょう。地域メディアの成功事例として、4例をご紹介します。
「TOWN JOURNAL OMITAMA」は、茨城県小美玉市内にある飲食店やイベント、住民の方々に関する情報発信を定期的に実施しているWebメディアです。
TOWN JOURNAL OMITAMAでは、レポーターがおすすめする市内の飲食店や、市内の会社が実施している取り組みを紹介しています。地域外の方々が小美玉市へ遊びに行きたいと思えるようなエンターテイメント性が高い記事が充実しているのが特徴です。
横浜ケーブルテレビでは、特徴が異なる様々な番組を放送しています。例えば、横浜市に関する民話や昔話をオリジナルの紙芝居でお届けする「えかたり〜べ紙芝居」では、気軽に地元に関する知識を深められます。
また「じもっと!! 出来事 おまとめ便〜weekly~」という番組では、地域の1週間の出来事をまとめて理解できるため、地域住民同士とのつながりを作るのに最適です。横浜ケーブルテレビは地域に関する特集番組だけでも、2023年5月現在で18種類あります。
ココラジは、郡山駅から20km以内の範囲で視聴できるラジオです。
地域密着の生活・エンタメ情報以外にも、防災に関する情報を提供しているので、災害時に活用しやすいのが特徴です。
災害時に、地域住民にきめの細かい情報を届ける手段として、ココラジのようなコミュニティFMは最適だといえるでしょう。
南日本リビング新聞社は、鹿児島県で「リビング新聞」と呼ばれるフリーペーパーを発行しています。
リビング新聞は、家庭内で主に消費決定権を持つケースが多い、女性をターゲットにしたフリーペーパーです。鹿児島市を中心に30万部強が配布されており、多くの地域住民への情報伝達が可能です。
ここでは、自治体のPR・広告における地域メディアの活用に関して解説します。
地域メディアを活用して自治体をPRする目的として、以下の3つを紹介します。
地域メディアを活用して自治体をPRすることで、地域住民に対して正しい情報を伝えることができます。
地域メディアは、災害情報や社会生活に欠かせない情報を提供する役割を果たしています。
例えば、個人ブログやSNS等の情報は正確でない場合もあり、そのような誤った情報は住民に損失をもたらすかもしれません。
それゆえ自治体は、地域メディアを通じて正しい情報を伝えることで、住民の利益を守る必要があります。
また、地域住民に行動を促したい場合も自治体のPRは有効です。例えば、就職活動や自治体が運営している保育所の情報などを地域メディアで伝えることで、住民の生活に役立てることができるでしょう。
さらに、地域メディアを活用して自治体をPRすることで、地域住民への情報提供だけでなく、地域外の方々へ地域の魅力を伝えることが可能です。
その結果、地域外の方々に地域の魅力を知ってもらうことができれば、観光客や移住者が増え、街の活性化につながるでしょう。
どのような目的で自治体のPRをおこなうのかを把握したうえで、地域の発展に向けて積極的に地域メディアを活用しましょう。
地域メディアを自治体のPR・広告として活用し、成果を出すための戦略として、以下の2つが挙げられます。
地域メディアを自治体のPRとして活用する場合、地域独自の特色や魅力にスポットを当てて情報発信をおこないましょう。
地場産業や地域の文化など、ご当地ならではの情報を積極的に発信することで、ほかのメディアとの差別化を図ることができます。
ご当地ならではの情報に地域外の方々が魅力を感じてくれることで、観光客や移住者の増加につながる可能性があります。
また、地域メディアの活用に当たっては、地元企業や近隣の地方自治体とのコラボレーションも有効といえるでしょう。
地元企業や近隣の地方自治体との連携により、その企業の商品やサービスのファンや近隣の自治体の住民が興味を持つきっかけになり得ます。
さらに、地元企業や近隣の自治体と協力関係を築くことで、地域全体のPRや地域経済の活性化につながる可能性があります。
自治体のPR・広告において地域メディアを活用する際は、以下のポイントについて留意する必要があります。
地域メディアとSNSを同時に活用することは効果的です。
SNSは情報の拡散力が高く、幅広い層に届けることができるため、地域メディアの認知度向上に役立ちます。ゆえに、地域メディアの情報をSNS上で共有・拡散することで、より多くの人々に情報が伝わる効果が見込めるでしょう。
また、地域メディアの活用は、長期的な視野で検討する必要があります。
地域メディアは継続的に活用し続けることで、認知度が向上し、情報伝達の効果も高まります。地域住民が安全に暮らし続けられるまちづくりのために、地域メディアを積極的に活用しましょう。
地域メディア以外に、自治体のPR・広告に活用できる広告配信サービスとして「まちあげ」をご紹介します。
マイクロアドが提供している、自治体に特化したマーケティングプロダクト「まちあげ」は、自治体の実施する各種施策に対して親和性の高いユーザーをターゲットに広告配信を実施できるサービスです。
具体的には、観光・移住者の訴求やふるさと納税の促進につなげることが可能です。
「まちあげ」を利用するメリットとして、以下の3つを解説します。
「まちあげ」では、マイクロアドのデータプラットフォームが保有する位置情報データやメディアの閲覧データを独自に分析することで、自治体が実施する各種施策に対して、親和性のある層を捉えることができます。
これによって、自治体のニーズに合わせてターゲットを絞った効率的な広告配信が可能です。
また「まちあげ」では、広告配信の前後を比較・分析し、効果測定をおこないます。
加えて、Web上の行動履歴をもとに、ユーザーの興味関心傾向、比較検討地域や目的、来県計測などを可視化したレポートをご提供いたします。
数値レポート以外にも「広告を見た方が指定地域に訪れたか」や「地域に対してどのようなイメージを抱いたのか」などのアンケート調査も実施できる点がメリットです。
さらに「まちあげ」を利用した9割の自治体が、設定した自身のKPIを達成している実績があります。
効率的に自治体の魅力をPRする手段として「まちあげ」を活用しましょう。
「まちあげ」を自治体プロモーションに活用する際の実例をご紹介します。
上記のプロモーションのように「まちあげ」では、様々なユーザーをターゲットにした広告配信が可能です。
地域メディアを活用することで、地域住民がより暮らしやすいまちづくりをおこなうことができます。
今回ご紹介した各地域の取り組みも参考にしつつ、地域メディアの意義と役割を理解して、自治体のPRに有効活用しましょう。